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「......元くん、待っててね.....」
そう言い残して、真紀はバスを降りていった。
絢と二人で、ハチ公方面に消えて行く。
「なぁ、今の、どういうこと?」
「え?」
「いや、真紀ちゃんのさ、さっきのやつ」
「あー.....きっとね、真紀ちゃん、好きなんだよ。元ちゃんが」
「.....は?」
「分からないもんなのかなぁ.....」
「なにが?」
「女心が」
「は?」
「元ちゃんを見る目、恋してたもん」
「え?真紀ちゃんが?」
「うん」
「えっ......テツの妹だよ?」
「そういうの関係なしに、ね。.......元ちゃん、ほんと鈍いんだから」
「......ごめん」
「もう、私に謝らないの!」
素直に謝る元に、笑わされた。
「私も、負けられないなぁ.....」
「.....誰と戦ってるの?」
「もう!」
元の右腕に抱き着いて、頬を寄せて歩く。
「みーちゃん?」
「.........」
(......真紀ちゃんの頭に手を乗せてるの.....妬いちゃうじゃん...)
「......おーい、みーちゃん?大丈夫?お腹痛い?」
(........全く..この鈍感さもまた、救いなのかな.....。変な所で鋭い癖に......)
「みーちゃーん。大丈夫ー?」
「......もうっ。行くよ!罪な男よ!」
「え?」
未だ何一つ理解していない元は、多くを語らない美帆に引かれるがまま、渋谷の雑踏に紛れていった。