第二話〜訪問〜-2
意を決して中身を見る。
「んっ!?」
写真が同封されていた。
おっぱい。
恐らく一ノ瀬さんであろう人物の、さほど大きくはないが形のいいおっぱい写真。
そして俺は理解した。
一ノ瀬さんは変態なのだと。
「佐藤さんって一ノ瀬さんの知り合いだったよな…」
これは是非とも佐藤さんに一ノ瀬さんのことを詳しく聞いておかなければ。
***
翌日、俺は佐藤さんを学校の中庭へ呼び出した。
「おっす、佐藤さん」
「レン」
あ、そういう設定だっけ。最近話しかけてこないから、ついうっかりしていた。
「なぁレン。一ノ瀬さんについて聞きたいことがあるんだけど」
「なに」
「一ノ瀬さんって、特殊な性癖の持ち主?」
「………」
さすがの自称暗殺者さんも黙ってしまった。
「あなたほどでは、ないと思う」
微妙に顔を赤らめつつ答える佐藤さん。
なるほど俺ほどではなくとも特殊な性癖を……って俺は至って普通だっての。
「女性に、その……一人で、してるか、なんて……よく、聞けたわね」
「え…うわーマジか…」
一ノ瀬さん、そんなことまで佐藤さんに話すのかよ。
「どうせ、彼女の胸を、お、おかずにしてるんでしょ…?」
「そ、そんなことないぞ(震え声)」
実は一発抜いたなんて口が裂けても言えない。
というかおっぱい写真のことも知ってるのか。ならあの写真を撮影したのは佐藤さん…?
ふたりは百合なのか?イイネ!
「そろそろ一ノ瀬さんに会わせてくれよ」
「ダメよ。ケダモノに襲われてしまうもの」
「それは俺のことか?」
「えぇ。それ以外にいないでしょ?」
言いやがって。
大体あんな写真を送ってくる女だぞ?襲われても文句は言えないだろうが。
「弘樹」
「おう」
そういや佐藤さんに名前呼ばれたの初めてかも。
「今度遊びに行くわ。あなたの家に」
「なんでまた」
「忘れたの?あなたは私のターゲット…あなたの周辺を調べるのは当然」
まだ引っ張るのかその設定。というか『遊びに行く』って言っちゃってたけどな。
「一ノ瀬さんってケータイとか持ってないの?」
「突然ね。持っていないわ」
ですよね。持ってたらわざわざ手紙なんて古くさいことはしてこないか。