第一話〜転校生〜-4
「ところで佐藤さん」
「レンよ」
めんどくさっ!どうせ『佐藤愛理』が本名だろうに!
「なんでもいいよ」
「撃つわよ」
(水鉄砲の)銃口を向けてくる佐藤さん。もう水をかけられるのは勘弁。
「レン」
「なに」
佐藤さんは水鉄砲を下ろす。
「さっき『あなたもゲーマーなら』って言ってたよな。なんで俺がゲーマーだって知ってんだよ」
実際はゲーマーというよりただのオタクなんだけど。
今日転校してきたばかりの彼女が知るはずもない。
「それは……彼女から聞いたのよ」
「彼女?…ああ、一ノ瀬さん?」
「そうよ」
なんで一ノ瀬さんも知ってるんだよ。
あ、でも手紙に『ずっと見ていた』みたいなことが書いてあったし、もしかしたらゲームショップとかで目撃されてたのかな。
「わかった。最後にもういっこ」
「質問ばかりね」
佐藤さんや一ノ瀬さんたちについて何も知らないのだから、質問するのは当然だと思う。脅迫まがいのことまでされたし。
「『あなたも』ってことは、レンも…?」
佐藤さんもゲーマーなのかと問う。あるいは一ノ瀬さんか。
「そうかもしれないわね」
曖昧な答えが返ってきた。教えてはくれないようだ。それとも隠したいのか。
「へぇ。普段どんなゲームをしてるんだ?」
「そうね。主にギャ……あなたとゲーム談義をしている場合ではないの」
ギャ…?まさかギャルゲですか!?女の子がギャルゲ…ありだな!
「なにニヤニヤしているの」
「いや、レンはどういう気持ちでギャルゲをやっているのかなと」
「らう……どうでもいいでしょ。というかギャルゲだと決めつけないで」
しかし『ギャルゲ』という単語は知っているらしい。これはいよいよwktkですよ!プロデューサーさん!
「もう行くわ。伝えたいことは伝えたもの」
身を翻す佐藤さん。伝えたかったことって、一ノ瀬さんと文通しろって部分かな。それとも水鉄砲をハンドガンとか言っちゃう痛い娘って部分?しかも佐藤さん、絶対『ハンドガン』を正式名称だと思ってるよね。
俺は銃マニアじゃないけど、ハンドガンが正式名称ではないってことぐらいは知ってるよさすがに。AK47とか、そういうよくわからない数字やアルファベットがつくんだよね。