2-1
食べ残しの一切無い皿が複数並んだ食卓。
向かい合わせに座る、腹が膨れた女子二人。
会話はまばらだ。
「....ねぇ、真紀ちゃん」
「..なーに?」
「食い....過ぎたー...ゲフっ」
「絢ちゃん...汚い...」
「無理に食べないで残せばよかった...どうせ兄貴の夜食にもなっただろうし...ゲフっ」
「絢ちゃん...」
「....どれ、片付けますかー。多分もうそろそろ兄貴達も帰ってくるでしょ」
「うん...」
絢が洗い、真紀が拭く。
155cmの絢に対して167cmの真紀。
パッと見は、姉妹だろう。
「ねぇ、絢ちゃん」
「んんー?」
「元くんって、家でどんな感じなの?」
「どんな感じって?」
「いや、そのまんまなんだけど...」
「うーん...ご飯食べて、煙草吸いながら洗い物して、お風呂入って、ビール飲んで...みたいな」
「洗い物してくれるの?」
「うん。余程疲れてるとかじゃない限りはね」
「へー...いいなぁ。うちのお兄ちゃんなんか何もしないのに...」
「まぁ、一切料理の出来ない兄貴なりのね、気遣いっていうか」
「かっこいいなぁー...」
「そうかなぁ。風呂あがりとか上裸でビールだよ?でいつの間にかソファーで寝てんの」
「上裸...」
「なんで?気になるの?」
「いや....ほら、学校だとさ、ちょっと恐いっていうか、3年生の先輩達よりも大人っぽいし...雰囲気あるし....」
「うーん、どうなんだろー」
「だってさ、3組のアコちゃん達とかさ、元くん見付けたらすごいはしゃいでるし....」
「でも、テツくんだってかっこいいじゃん!なんかほんと、いいお兄ちゃんって感じで」