best friend-4
イジメの始まりは、恵が私を無視する所から始まった。
最初こそ恵の無視攻撃にへこたれていたが、他にも仲良くしてくれる友達はたくさんいたし、テツヤくんもかばってくれるかのように話しかけてくれるから、私は恵がいなくとも楽しく過ごせるんだと言い聞かせていた。
でも恵は、そこで引き下がるようなタマじゃなかった。
彼女は、いかに自分の想い人を巧妙に奪われたかを周りに吹聴しては同情を誘い、ゆっくりと味方を増やすことに専念した。
どちらの言い分も聞いて公平な判断を下すなんて裁判官みたいな真似、小学生に出来るはずもなく、被害報告を受けたクラスの女子は、私を見る目を次第に変えていった。
クラス中の女子が恵に同情するに連れ、恵に味方する波は、やがて学年中の女子へ、さらには男子までも伝播していった。
それにつれて、イジメの質もどんどんたちの悪いものへとエスカレートしていった。
無視から始まったイジメは、物を隠されたり捨てられるようになり、やがてトイレに閉じ込められたり、給食では消しゴムのカスや髪の毛なんかを入れられたりするようにもなった。
イジメの波は六年生にまで広がっていて、部活中に背中に思いっきりソフトボールを投げ込まれたり、一人だけ延々とグランドを走らされたりもした。
放課後だって、待ち伏せされて、顔以外を殴られたり蹴られたり、毎日心身共にボロボロにさせられた。
いじめられっ子というのは無関係な第三者にとって、まるでばい菌のように見えるらしく、大人しそうなクラスの男子ですら、私が近寄るとそそくさと逃げていった。
最後の砦のテツヤくんは、いつの間にか好きな人が変わったらしく、恵とよく遊ぶようになっていた。