best friend-11
私が恵子と仲良くなるまで、時間はそうかからなかった。
恵も恵子も、いつも人の輪の中心になるタイプだが、トゲのある雰囲気の恵に対して、恵子はまるで春の昼下がりのような温かく優しい雰囲気で、周りの人を和ませてくれた。
顔立ちこそキツそうなつり目の女の子だけど、笑うと目がなくなるその表情は、見ているこちらまで幸せな気持ちにさせてくれた。
とはいえ、恵と同じ顔をした彼女に、最初こそなかなか警戒心がとけなかった。
でも、一向にあの陰湿なイジメはしてくる気配がなかったし、何より私を気遣ってくれる恵子の優しい性格が、私の心のトゲを一つ一つ削ぎ落としてくれた。
いつの間にか私は恵子と親友と呼べるような間柄になった。
さらには、学校初日で倒れたことがクラスメートに印象深く残ったらしく、気付けば私と恵子の周りにはいつも笑顔の友達が集まってくれたのだ。
友達、親友……私の欲しかったものがついに手に入ったのだ。
◇ ◇ ◇
新緑が眩しい、そんな五月のある日の日曜日のことだった。
私と恵子は午前中から学校の近くの市立図書館で待ち合わせをして、勉強をしていた。
お昼になり、図書館に併設されている大きな噴水のある公園のベンチで、私達はお弁当を広げていた。
降り注ぐ太陽の光に目を細めながら、私達は学校での出来事を楽しく話し合っていた。
勉強の進み具合、クラスメートの面白い話、先生の物真似なんかをしながら、大口開けて笑い合っていた。