アンバランスな愛-7
「人が繋がって出来た奇跡なんだから……大事にして」
ケイと出会って、ゼイン達と関わりがあったキャラと繋がっていて……人の出会いが生んだ奇跡だから……それを切り捨てないで欲しい。
ポロの潤んだ目から涙が零れ、ゼインはそれを指で拭った。
「分かった。約束する」
そのまま頬を包んで指で撫でると、ポロはふんわりと微笑んだ。
「っ……ポロ!」
「笑えるようになったの。ゼインに見せたかった。見せれて良かった」
涙目だけどそれがキラキラ光って、ポロの笑顔を飾り付けている。
「……思った以上に……可愛い……」
呆けた顔で呟くゼインの言葉に、ポロは赤くなりつつその時の話をした。
居なくなったゼインを追いかけている途中、巨大なドラゴンが現れた事……それは、エンとアビィが完全共有した姿だった事……そして、そのドラゴンから降りてきたケイにプロポーズされた事……。
「プロポーズ?!」
「うん」
その時、自然と笑えた……こんな自分を愛してくれる人が居ると思ったら、何だか安心したのだ。
「でも、焦らないって……暫くは自由にして良いって言ってくれたの。だから、働きながら学校に通おうかと思ってる」
字の読み書きが出来ないのは、生きていく上でかなり不利だから。
「学校って言ってもね?魔法学校なの。今、ゼビアと協力してファンにも建設中なんだって」
「魔法……学校?」
ポロは照れくさそに笑うと片手を上げる。
すると、ポロの背後にしゅるしゅると水が集まって女性の姿を形作った。
蒼く長い髪とキャミソールドレス……サファイアを嵌め込んだ様な目に透き通った青白い肌。
目の前で起こるおとぎ話な光景に、ゼインは目を丸くして驚いた。
『コンニチハ、ワタクシハ「しーりー」。水ノ精霊デス』
現れた美しい女性は、片言で挨拶をしてゼインに頭をさげる。
「あ、はぁ……どうも」
ゼインはポロから手を離してその手で自分の頭を掻いた。
シーリーはにっこり微笑むと、手の平サイズになってポロの肩にちょこんと座る。
ポロはシーリーを指で撫でながら、契約した時の事も話した。
産まれた時から傍に居て、手助けしてくれていたシーリー……魔物に侵されずに済んだのは彼女のおかげ。
「だから、魔法学校で魔法を学びたいの」
せっかく魔力を持って産まれたのだから、それを最大限に生かしたい……そう話すポロは、出会った頃のオドオドした、目的も無くただ生きるだけの奴隷では無かった。