アンバランスな愛-3
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「あ〜…?」
目が覚めたと同時に口から掠れた声が出る。
甘い匂いの中に、なんだか懐かしい匂いが混ざっていてゼインは顔をしかめた。
視界には白い天井が映り、耳には衣擦れの音が聞こえる。
「気がつかれましたか?」
丁寧な言葉使いの女性の声の方に首を動かすと、全身に痛みが走った。
「い゛っ?!」
「ああ……動かない方がよろしいですわ……まだ回復しきっておりませんもの」
ギシギシ軋む身体をなんとか動かして女性の方を見ると、女性は艶やかにふわりと微笑んだ。
複雑に編まれた長いプラチナブロンドと、深い緑色の瞳の女性。
「キャ……ラ?」
甘い香水をつけているが、何度も間近で嗅いだ彼女の匂い……それと、この視覚情報なら間違いない。
ゼインの口から出た名前を聞いた女性は、ピシリと笑顔を凍りつかせた。
「……んだよ、やっぱバレたか……相変わらず鼻良いなぁ」
キャラと呼ばれた女性は丁寧な言葉使いをやめ、香水まで付けたのになぁと、しかめっ面で頭をガシガシ掻く。
「え?あ?えぇ?」
間抜けな声をあげるゼインに、キャラはしかめていた顔を笑顔に変えた。
「久しぶり。何か耳と尻尾が生えてっけど元気そうじゃん?」
「はああぁ?!」
3年も前に別れた特別な女性を目の前に、ゼインは人生最大の間抜けな声をあげたのだった。
パニクるゼインをよそに、キャラはあの時の事を話す。