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杉山梢の独り言
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転校-1

だがそのうち祖母さまが私に転校するように言ったのです。

「いつまでもこの家にお金が残るとは思えない。

貧乏な子も通う普通の学校に転校して、今のうちから準備しなければいけない。

その分の学費の差額はお父さんに言って貰うようにしよう」

私はそのことを松野さんに告げました。

すると、松野さんは一緒に転校したいと言ったのです。

悪戯されて以来男の子が怖くなった松野さんは、唯一の女友達の私と別れたくなかったらしいです。

私は、言いました。

男の子を近づけないようにするには、フランス人形のような姿では駄目だと。

まして私が転校する先は、貧乏な子も沢山通う普通の小学校だから、ひらひらした格好は目につきやすいと。

松野さんは父親に頼んで私と同じ学校に転校することになりました。

新しい学校で松野さんに会ったときはびっくりしました。

長かった髪をばっさり切って、ズボンを履いて来たのですから。

どこから見ても男の子です。そして言葉遣いも男の子のようになっていました。

松野さんは天性の役者のように、完全にキャラを変えていました。

転入する際、向こうの父親が希望して、私と同じクラスにしてもらったそうです。

これは学級の人数を調整する関係で難しいことらしいですが、無理にでもそうしてもらったようです。

それ以来私は松野さんを陰から支えてあげる役割を果たして来ました。

私は車で通学することを禁止しました。服装も地味なままで通すようにしてもらいました。

その代わり休日は、お嬢さんの格好に戻っても構わないと。

これには多分に祖母さまの助言があったような気がします。

私の相談相手は祖母さまでしたから。

 


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