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杉山梢の独り言
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松野緑との出会い-1

そんなときに私は自分とは真逆な女の子に会ったのです。

それは松野緑(まつの みどり)という子です。

まるでフランス人形のような可愛い子で、いつも高級車で送り迎えされていました。

もちろん杉山家も見栄っ張りだから継母の運転する自家用車で送り迎えされています。

でも私は祖母さまの言い付けで、歩いて通学しました。

30分も歩けば学校に着くのですから、私はそれが当然だと思っていました。

ちょうど自家用車も兄や弟の5人が乗れば満員だったので、私の乗る余地はなかったのです。

その代わり祖母さまは、私の分の交通費を継母に請求していたようです。

それらのお金は全て私の名義で貯金されていたことを知ったのは、ずっと後のことでした。

話を松野緑に戻します。 その子とある日知り合いになりました。

私が通学中にすぐ前に車が停まって、松野さんが降りて来ました。

「ねえ、あなた。いつも歩いて通っている人ね。良かったら家の車に乗って行かない?」

私は笑って手を横に振りました。

そして私はそのまま立ち尽くしている松野さんを残して歩き始めました。

すると、松野さんは私の後から歩いてついて来るじゃありませんか。

そしてその後から彼女の車がゆっくりついて来るのです。

私は仕方なく松野さんに言いました。

今日だけ一緒に車に乗るけれど、学校の手前で降ろしてほしいと。

車に乗ったことがわかったら祖母さまに叱られるのだということも。

私は車の窓からしきりに途中の景色をチェックしていました。

だから松野さんが色々話しかけることにはそれほど熱心に相手にしませんでした。

でも、そういう私にも彼女は強い関心を持っていたらしく、色々なことを聞こうとしました。

私は、何故歩いて通うのかという質問に、歩くと交通費が貯金されると言いました。

それに歩くと途中で色々な物を見ることが出来るから楽しいし、足が丈夫になるとも。

松野さんはもっと私から聞こうとしましたが、車ではそれほど長い時間かからないのでその辺で話しは中断しました。

学校の近くで私は降ろしてもらったのです。

学校に行っても彼女は同じ学年ではあったけれどクラスは違いました。

だから会って話すことはありませんでした。

でも次の日、私が彼女と会った場所で彼女は待っていました。

ずっと遠く離れたところに彼女の車がありましたが、私は気づかない振りをして一緒に歩くことにしました。

車は200mくらい離れた距離を保ちながら控えめに尾行していました。

そして、学校の近くに来た時に引き返して行きました。

彼女が父親に頼んでそうするようにしたようです。

私は彼女と話をしているうちに、お互いに現在の母親が継母であるという共通点を見つけました。

そして男の兄弟がいることも。

但し彼女には継母の連れ子の兄が1人いるだけですが、私には亡き母から生まれた2人の兄と継母が産んだ3人の弟がいるという数の違いがあります。

私はそうやって松野緑と通学友達になりました。

彼女はお嬢さんのように育てられていますが、実際は友達はあまりいないようでした。

どうして私のことを気に入ったのかわかりませんが、私は来るものは拒まずという感じで相手にしていました。

あるとき彼女は暗い顔をしていました。いつもと違う様子なので聞き出したところ、2才年上の連れ子の兄から悪戯されたと言ったのです。

その内容は、まだ小さかった私にも分かるような性的で悪質な悪戯でした。

私はお父さんにそのことを言いなさいと言いました。

継母に言ってもうやむやにされるかもしれないと思ったからです。

彼女は早速父親に言いつけたらしく、解決したと言いました。

結果は両親の離婚にまで発展したらしいですが、取り返しがつかなくなる前にそうなって良かったと思いました。

 


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