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ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜
【学園物 恋愛小説】

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第五話-4

さっきは違うって言いかけてたのに、結局マッサージなんじゃないか。
「そ、それより姉さん」
「なんだーミズパイ」
「みずぱっ……変な呼び方をしないでください」
また呼び方で弄られてる瑞希。
「冗談はさておいてだ。どしたー?」
「兄さんの様子がおかしいんです」
突然なにを言い出すんだ。俺は至って普通だぞ。
「おかしいって、トモのどこがおかしいんだー?モミモミ」
「人の胸を揉まないでください!」
「トモー。ミズキが反抗期だー」
ガバッと今度は俺に抱きついてくる姉ちゃん。
「離れろ」
「いやでーす」
「子供かっての」
まったく。家では割とおとなしいのに、どうして学園ではこうベタベタしてくるかね。
「も、もう兄さんのことなんて知りません!」
立ち上がりもせずにそんなことを言う瑞希。ってかそのセリフついさっき聞いたぞ。しかも何故に俺。
「なぁトモー」
「なんだよ」
「紅葉はどこに行ったんだ?紅葉狩りかー?お、今の上手いなー」
自画自賛しとる。しかも上手くないし。
「利乃ちゃんもいないですよね」
「利乃は紅葉ちゃんと喧嘩したみたいでな」
「え?あのふたりが、喧嘩……?」
何やら首をひねる瑞希。
「そりゃあ友達なんだから、喧嘩ぐらいするだろ」
「そうですけど……あのふたり、喧嘩するほど仲がいいってわけでもなかったですよ?」
「そりゃお前の主観だろ?外では仲良くしてるかもしれないじゃないか」
「ないなー」
姉ちゃんが俺に抱きついたまま、俺の考えを否定した。
「利乃は、他人と仲良くするタイプじゃないんだ。例外はいたみたいだけどなー」
頬をすりすりしてくる姉ちゃん。
ブラコンに何を言っても無駄だと悟り、俺は姉ちゃんを放置することにした。
「随分と利乃ちゃんのことに詳しいんですね。姉さん」
「実は何年も前から知っていたからなー」
なんだって?それは初耳だぞ。
「まぁでも、利乃はともかく紅葉のことはトモのほうが詳しいだろー」
「は?なんでだよ。俺はついさっき、初めて紅葉ちゃんと会ったんだぞ?」
「兄さんはさっきから何を言っているんですか。兄さんと紅葉さんは、小学生の頃からの知り合いじゃないですか」


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