『また、明日』-1
竜騎士団長ベルンハルトは、可愛いものが大好きだ。
特にプニプニやふわふわの魅力にはいちころだ。 発見したら、思わず近寄り見いってしまう。許されれば撫でくりまわす。
しかし、自分のごつい外見に似合わないとわかっているから、慎重に隠している。
……もっとも、バレていないと思っているのは、当人だけだが。
十三歳の夏、ベルンの父が連れ帰ってきたのは、透けるようなプラチナブロンドの可愛い女の子。くりくりした瞳がなんとも言えず愛くるしい。
カティヤを一目見て、ベルンはほお擦りしたい衝動に身悶えたほどだ。
柔らかいほっぺたをピンクに染め、
『おにーちゃんって呼んでいいですか?』
と、恥ずかしそうに尋ねられた時は、鼻血を噴いて卒倒しかかった。
盛大に降りかかった鼻血にカティヤは硬直し、『まぁ落ち着きなさい』と、母に締め技をかけられたのは、消したい過去だ。
とにかくカティヤはベルンにすっかり懐き、いつも後をついてくるようになった。
可愛くて可愛くて、これ以上ないほど大切な宝物。
いつまでも大切に手元で温め、守り抜こうと思った。
――が。
壊れ物のように華奢だったカティヤは、ベルンが教えた武芸をぐんぐん吸収し、『竜姫』と称される立派な女騎士に成長し、更には魔眼王子の嫁となりましたとさ。