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ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜
【学園物 恋愛小説】

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第一話-8

「一条楓も、神様とやらも関係ねぇだろぉよ」
「だとしたら視力を奪った犯人は、琴梨さんのお姉さん……琴梨先輩、ってことですか?」
でもそうだとすると、パソコン室からメールを送ってきたのは誰になるんだ?
付属の2年2組がパソコン室を使っていた時間、琴梨先輩がパソコン室にいたとは考えにくい。
「琴梨愛理に聞けばいいだろぉ」
「そうですね……わかりました。本人に聞いてみます」


   ***


翌日の放課後、俺は琴梨先輩を部室に呼び出した。
「すまない。遅くなった」
琴梨先輩は一週間前と同じように、琴梨さんを支えて部室へやってきた。
二人をソファに座らせ、俺は対面に座る。紅葉は例によって、俺の背後にあるPCの前に座っている。
「もしかして、何かわかったのか?」
犯人かもしれない琴梨先輩がそう切り出した。
「はい。恐らくですが」
「それで、どうすれば在花の視力は元に戻るんだ?」
「それはわかっていません。わかったのは、琴梨さんの視力を奪った犯人です」
「犯人?何を言っているんだ?」
琴梨先輩は本当に不思議そうな顔をしていた。
「あの、神代先輩……?私が失明したのは、部屋に一人でいる時、突然見えなくなったんですよ?犯人がいるなんて、思えないですけど……」
超能力や魔法説を除けば、たしかに事件でもなければ犯人が出てくることもおかしいかもしれない。
「先輩、あなたは超能力や魔法が使えますか?」
「……は?お前、私をバカにしているのか?そんなもの使えるわけがないだろう」
「ですよね……」
琴梨先輩は超能力も魔法も使えない。となると、視力を奪った人物は別にいるということになるのだが。
「先輩はシスコンですよね?」
「そ、それの何が悪い」
「悪いなんて一言も言ってないですよ。それより俺が聞きたいのは、琴梨さんとの関係です」
「関係?姉妹だ」
そんなことわかってるっての。
「そうじゃなくて、琴梨さんが失明する前の二人の距離感、みたいなものです」
「距離感か……あまり話したりはしなかったな」
失明する前までは、琴梨さんと琴梨先輩はあまり仲のいい姉妹ではなかったそうな。それでも先輩はシスコンだったので、積極的に琴梨さんに話しかけてはいたみたいだけど、琴梨さんのほうが先輩のことを避けていたらしい。


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