陸、大奥様の元へ行く-2
三人にもやっと事態が飲み込めてきたようである。
「そーか、陸にもやっとお嫁さんができるのか」
陸に見合い写真を運ぶのが生きがいであった桜が落胆と喜びをシェイクした複雑な笑顔を見せる。
納得できないという顔をしているのが紅葉であった。
「あー、つまんないな。陸で遊ぶのが一番面白かったのに。仕事をするのが嫌になっちゃった」
「紅葉も私みたいに陸の代わりのおもちゃをみつけるんだね」
そう言う桔梗も寂しげであった。
そんな好き勝手を言う三人を翠はただ微笑みながら見つめていた。
「それじゃ私達は荷物を持って一足先に帰るとするか。陸、翠さんとお茶でも飲んでゆっくり帰っておいで。それで姉さんは?」
桜が椿に尋ねた。
「陸は手を離れたけれど私はこの病院を当分離れる事が出来そうに無いよ」
椿と翠が顔を見合わせて笑っている。
「一体何の事だ?」
陸はもとより三人の姉達も椿の言う意味が解らないでいる。そんな四人を尻目に椿が翠に言った。
「翠、陸の事頼むわね」
「はい、お姉さま」