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『innocent toy』
【その他 官能小説】

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『innocent toy』-1

生まれて来るには親を選べない―。
店番をしながらそんなことを考えたりする。しかし、この状況に大した不満があるわけでもない。

昼下がり―、天気は良いが、店の中には陽は射さない。

「なつる、済まないが今日、店番頼まれてくれないか?バイトの子が急に休んでな」
日曜朝早く、パパにそう頼まれた。
「バイト代、色つけるから。な?頼む」
そう言われたら断れない。
あたしは満面の笑顔でオッケーした。

だいたい、昼間からそんなに客は来ないから店番といっても楽なモンだ。
さっきコンビニで買ってきた漫画雑誌をパラパラめくる。

あたしの父親は大人のオモチャの製造会社を経営していて、店番をしているここは直営店の一つ。
道具の他に、アダルトビデオや、雑誌にコスプレ衣装も置いてある。

需要があるから供給がある―。
17年も生きてくれば、親の仕事に理解ができるようになってきた。
風俗店やエロ雑誌・アダルトビデオなんかが世に氾濫してる限り、あたしは自分の親を他人がなじる事を許さない。
こんな環境、滅多にないんだもん。楽しまなきゃ損だ。

これまたコンビニで調達したパンを口にしつつ、雑誌をめくる。
そんな空気の中でよくものを食べる気になるなと他人は言うかもしれない。慣れというのは怖いものだ。

しかし…ひまだなぁ…。
お客は朝から3組しか来てない。
カップルと男が二人。
カップルはローターを、男はそれぞれ、ビデオと雑誌を購入していった。
それでも、上天気の日曜の昼から、こんな店に入る気になるもんだと感心した。

ガチャッ。

「こんにちはー。毎度どうもー」
店に入ってきたのは大きな段ボールだった。
顔が隠れて見えない。
「荷物お届けに上がりました」
宅配のお兄さんだった。
レジカウンターを立ち、荷物を運ぶのを手伝おうとした。
「サインお願いしまっ…」
お兄さんは目を丸くしている。
それもそうだ。
いかにも女子高生の年の頃の女の子が店番をしているなんて思ってもいなかったんだろうから。

あたしはあたしで目を丸くした。
だって、そのお兄さんてすごくタイプだったんだもん。

いいこと思いついた。

「サイン、ここでいいですか」
「あ、はい。フルネームでお願いします」
かわいい。
20代前半てとこかな。
「あの、荷物の中身の確認してもらっていいですか?」
あたしの思いがけずの言葉に少しうろたえたようだった。
場所が場所なだけに、運ばれた荷物の中身の想像がつくのだろう。
「はぁ…」
箱を開ける。
「えと…、ビデオが五本に、雑誌が二十冊…、あと衣類と…オモチャが十箱…」
「ちゃんとありますよね?」
あたしはオモチャの箱を開け、中身を取り出した。
「あの…、これってどうやって使うかご存じですか?」
あたしが手にしていたのは陰茎の形をしたバイブレーターだった。
「いや…あの…」
真っ赤な顔。
「あたし、バイトなんですけど、こーゆーのって使ったことないから、お客さんに聞かれた時説明しづらいんですよね…」
我ながら名演技だと思いつつ、必死に笑いを堪えた―。


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