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あいかわらずなボクら
【青春 恋愛小説】

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VS桃子-3

言い過ぎたかな、と少し胸が痛んだ俺は石澤の方に向き直り、


「……だから、明日までにはちゃんと治せよ」


と素っ気なく言って、謝る代わりに石澤の熱い頬をそっと撫でた。


「うん……」


嬉しそうに返事する石澤の顔は、心なしかさっきより赤く見えた。


そんな彼女の表情を見てたら、沸々と邪な気持ちが湧き上がってきた。


「……なあ、風邪半分もらってやろうか?」


俺は頬を撫でていた左手を石澤の顔の横に置いて、右手で彼女の口元を覆っているタオルケットを首の辺りまでずり下げた。


ベッドが俺の手の重みで少し沈む。
同時に彼女の喉が上下に動いた。


「……は?」


石澤はびっくりした顔をこちらに向けた。


俺は構わずゆっくり自分の体を倒し、顔を近づける。


「ちょ、ちょっと止めてよ!

ホントにうつるから!!」


石澤は俺のしようとしていることを察知し、慌てて俺の体を押しのけようとしてきた。


だが、風邪で弱っているせいか、あまり力強さは感じられない。


俺はニヤリと笑って石澤の両手を抑えつけた。


「ちょっと……!」


「人にうつすと治るって言うだろ?

遠慮すんなよ」


うつすと治るなんて嘘もいいとこだけど、この際どうでもいい。


しばらくの間、彼女は必死に掴まれた腕に力を込めて抵抗を試みていたが、一歩も退かない俺の様子にとうとう観念したらしく、唇をキュッと結んで、目をキツく閉じた。


顔にまで力が入っている様子が可笑しくて、プッと噴き出しそうになったが、なんとかそれをこらえてゆっくり顔を近づけた。



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