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あいかわらずなボクら
【青春 恋愛小説】

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VS桃子-11

「なっ、何すんの!」


石澤は真っ赤になって、口に手をあてて俺を睨みつけたが、俺は


「一昨日の続き」


と、ニヤリと笑い返してやるだけだった。


プルプル震えている彼女は、


「こんなとこで……誰かに見られたらどうすんのよ、バカ!」


とギャーギャーわめき散らしていた。


「知らねえフリしてくれんだろ。気にすんな」


「……信じらんない!」


石澤は置きっぱなしになっていた弁当の包みを素早く拾い上げて、非常階段のドアノブに手をかける所だった。


俺は笑いを必死にこらえながら、石澤の背中に向けて、


「お前さ、今度の日曜、暇なら俺ん家に来いよ」


と、声をかけた。


すると、石澤は訝しげに振り返って俺の顔を見た。


「……なんで?」


「そろそろ俺らも次進もうぜ」


「次……?」


眉をひそめている彼女に、俺はポケットの中から“こんなもん”を出して見せた。


「…………!」


石澤は真っ赤な顔を更に赤くして、俺が見せたコンドームを凝視していた。


「な、何バカなこと言ってんの!」


「バカなことじゃねえだろ、いつかは必ずすることなんだから」


「か、必ずって………」


「クッキーん中にこれが入ってたんだよ」


俺は人差し指と親指でコンドームの袋をつまんでヒラヒラと揺らした。


「俺さ、お前の母ちゃんに頼まれたんだぞ。

ちゃんと避妊しなさいって」


ニヤリと笑って見せると石澤は、


「あのバカ親……!」


と、プルプル肩を震わせ弁当の包みを持つ手が白くなるくらい力を込めていた。


そんな彼女の様子がなんだか可笑しくて、俺は少し意地悪したくなった。


ドアノブを握った石澤のそばまで歩いて行き、彼女の右手をグッと掴んで、


「俺、下着は黒とか赤みたいなセクシー系より、水色とかピンクみたいな清楚な感じの方が好みだから」


と、耳打ちした。


「なっ、何言ってんのよ、このスケベ!」


石澤は真っ赤な顔でキッと俺を睨みつけた。


「何だよ、今頃知ったのか?」


「バカッ!」


石澤は血管が切れそうな勢いでそう叫ぶと、俺の手を勢いよく振り払って、校舎の中にズンズンと入って行った。






静かになった非常階段で再び柵にもたれかかって一息つく。


やっぱりコイツの出番はまだ先か。


俺は苦笑いしながら、コンドームを再びポケットにしまい込んだ。





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