選択-22
召還師であるキャラに出会えた事は本当にラッキーで、必死になって姿を見せた。
それがキャラにはダブって見えたのだ。
キャラがシーリーに気づいたのは、ポロの魔力の使い方が精霊人の魔力の使い方に近かったから。
体液の流れを調整したりは、水の精霊の得意技だ。
以前、他の水の精霊に同じような治療を受けた事があるのでピンときたのだ。
「じゃあ、ポロは精霊人なのぉ？」
カリーの言葉にポロは照れ笑いで頷く。
「すっごぉい」
『詳シイ話ハ後程。ざるすノ様子ガ変デス』
カリーとポロの会話に割って入ったシーリーは、水の壁を消してゼイン=ザルスを見るように促した。
ゼイン=ザルスは両手で頭を抱え、１人で悶えていた。
『グ……アァ……』
「ゼイン！？」
ゼイン=ザルスの身体がパチパチと火花を散らして縮んでいく。
「……ゼ…ロ……？」
人間に戻ったゼイン=ザルスが、信じられないという表情で呟いた。
「身体はやるっつったけどな、この身体で俺の天使を傷つけんなら話は別だなぁ？」
ゼイン=ザルスの口からいつもの口調でゼインが話す。
「ゼイン！」
「まさか……？！」
「俺がこの世界に何を感じてっか分かったろ？」
ガクリと膝をついたゼイン=ザルスの乳白色の目が、うっすらと蒼に変わっていく。
「あ゛……ぐ……」
「命は純粋だろ？生きる事は綺麗だろ？……アンタはそれを踏みにじった……許される事じゃねぇよ」
ふらりと立ち上がったゼイン=ザルスは、足取りも危うい感じで瓦礫に向かった。
「……ゼロ……？！」
「少しは変わるかと思ったが……アンタにとっちゃ命は……自分の命さえもどうでも良いんだな」
瓦礫を登ったゼイン=ザルスはその向こう側に身を乗り出した。
瓦礫の向こう側は底が見えない深い谷。
身体の主導権をゼインが握っている今の状態で落ちたら、浮く事も出来ずにまっ逆さまだ。
「ゼロ、止めなさい」
ゼイン=ザルスの目が目まぐるしく乳白色と蒼に変わる。
ゼイン=ザルスの中では激しい主導権争奪が繰り広げられているらしい。