選択-17
「あの……私、ケイさんが良いです」
おたつくケイにポロはもじもじしながら願う。
「ポロ」
「ケイさんに解放して欲しいです」
ずきゅーん
頬を染めて上目遣いで懇願されたケイは、ポロの両手をがしっと掴んだ。
「俺に任せて!!」
俄然やる気になったケイを見て、キャラは呆れた顔になる。
惚れた相手のお願いは効果抜群だ。
「えっと……まずは左手……」
ポロの枷を外すには順番があり、それ通りに『解除』の魔法をかければ簡単だ。
それは分かっているが、やはり緊張してしまう。
自分の為じゃなく誰かの……しかも、大事な人に魔法を使うなんて初めての事だ。
何度も深呼吸したケイはチラッとポロに目を向けた。
それに気づいた彼女はアイスブルーの目を細めて優しく微笑む。
(よ……よしっ)
ケイはポロの左手を取り、意識を集中した。
(下腹に力を入れて……流れに逆らわずに……)
日々エンに言われていた事を思い出し、ケイは魔力を操る。
ケイの魔力は暖かい波動となって枷を探っていった。
(あ……これっ)
魔力の流れに引っ掛かりを感じたケイは、迷う事なく解除の呪文を唱える。
「解」
カチ
軽快な音の後、ポロの左手から枷が外れ静かに地面に落ちた。
その頃、カリー達の戦いは困難を極めていた。
ゼイン=ザルスは遠慮なく攻撃してくるが、カリー達はゼインの身体が傷つくのを恐れて躊躇してしまうし、傷を負わせたとしても直ぐ治ってしまうのだから無理はない。
「つうか、何で攻撃されてんだ?!」
「やっぱアレじゃなぁい?君達さえ居なければ的な?」
「そうですね。ゼロの心残りは掃除しておかないと……身の回りは常に綺麗にと、いつもゼロに言われてましたし……」
「何か違う〜」
4人は妙な会話をしつつ激しい攻防を続けている。
カリーはクインの上で長い鞭を振るい、スランはカリーから返してもらったショートソードを持ってあちこち跳び回る。
その合間にエンの魔法が飛ぶ。
「焔舞!!」
ゴウッ
エン得意の炎魔法は容赦なくゼイン=ザルスを襲うが、直ぐに弾かれてしまう。