消える世界(行為なし)-1
「お……あ……?」
上手く口が回らない。頭もぼうっとしてきた……。
「ごめんなさい、タクミ」
そんな中で、誰かがぼれに謝っている声が聞こえた……気がした。
「私があなたを妄想したせいで、あなたを死なせることになってしまったわ」
この人は、何を……るんだ……。
「私が妄想したタクミ……。そしてあなたが妄想したこの世界は、もうすぐ消えてなくなってしまうわ」
なく――?
「あなたが自己崩壊してしまったのは、咲畑さんたちと繋がる妄想をしすぎたせい」
そ―――――。
「現実とのズレが大きなものとなってしまったのよ。
私があなたを離さなければ、あなたが私のことだけを好きでいてくれたなら、そうはならなかったと思うわ」
―――――。
「……本当に、ごめんなさい。そして、さよなら……」
――――?
「……コキュートス」
冷めていく意識の中、俺はたしかに、誰かの温もりを感じた……。