U-5
忍による私の改造は当然のごとくセックスにも及んだ。私のセックスレベルはプロの女の男としてはまるで落第であるという。当然であろう、それまで経験した女は片手で余る。継続して抱いた女といえば別れた女房と忍だけなのだから。
それまでの私のセックスが自分が満足して果てるだけのものでしか無かった事を忍によってこれでもかと言う位思い知らされた。先ずどういう動きをすれば女が喜び、満足するかを徹底して教え込まれた。そして女が果てるまで私が果てる事は許されなかった。
この時、私は女が満足して果てるまで、自分が決して果てる事のない動きがあることを始めて知った。なるほど、いくらでも耐えられる。それでいて確実に女の感じるポイントを責める事が出来た。それは私が今まで一度として試みた事の無い動きである。男が自分が逝く事だけを考えている間はまるで思い付きもしない奉仕の動きなのである。
「これは私だけにしときなよ。あんたがこれを他の女にしたら女の方が堪らない。例えプロの女でも離れられなくなる。相手が素人だったら尚更さ。追いかけられてえらい目にあうよ」
本気で言っているのかどうか、忍は私によくそう言ったものである。
忍は客との行為で逝くことは無いという。もっとも、一日何人もの客をこなしていちいち逝っていたら仕事にならない。くすぶりだけを残して家に帰ってきた、当然のごとくそのくすぶりを鎮める事を私に求めたのである。忍のくすぶりを鎮めるということは忍を逝かせるということに他ならない。若い頃から何百人、いや何千人という男を相手にしてきた女である。その忍を逝かせることは至難の業であった。逝くまでは決して許さない忍によって私の性技は格段の進歩を遂げた。
忍は自分が店に出る日は私が必ず忍の部屋に居る事を求めた。帰るなり身に着けている全ての物を脱ぎ捨て私の布団に潜り込む。自分が完全に逝き、満足するまでを私に求め、やがて私が果てるのを見届けると満足したように眠りについた。
不思議な事ではあるが、あれほど娘達には自分の夜の仕事をひた隠しにしていた忍が、私との夜の営みを娘達に悟られる事を一切気にしなかった。一枚の襖でしか仕切られていない隣の部屋には娘達が寝ている。隣の部屋での私達の激しい動きや忍の喜びの声をを娘達が気付かないはずが無かった。
恋人との当然の行為である。何の恥ずべきことも無いとでも忍は考えていたのであろうか・・・、それとも娘達の存在を考える余裕も無いほど私との営みに没頭していたのか。今ではそれを確かめるすべも無い。
初詣に始まり花見、海水浴、秋の山歩き。更にはクリスマスの食事会と家族のイベントには必ず私の参加を求め、そして私もそれに応えた。確実に私は忍の家族の一員となっていったのである。