イケナイ関係 side:カツラギタケシ-7
「どう?自分で腰振って気持ちいい?」
イジワル、とでも言いたげな目で頷く。
「上下だけじゃなくって、もっと粟飯原さんの好きなように動いていいよ」
「…ムリ…こすれて…ダメ…」
倒れこみそうになる身体を胸を掴んだまま支えてそれを阻止する。
その代わりに下から腰を突き上げると一際大きな声で鳴いた。
自分の声に驚いたのか、口をふさごうとする。
「いいよ。ラブホなんだし、もっと粟飯原さんのやらしい声きかせてよ」
「ダメっ、動かないでっ。またイッちゃう」
「いいよ。何回でもイキたいだけイッて」
「アタシだけ…気持ちいいんじゃダメなのっ。桂木さんもっ」
「十分気持ちいいからオレのことは大丈夫」
このままイカせてしまいたくなり、腰を突き上げるスピードを緩めて両方の手で握っていた胸の片方から手を離す。
その代わりに彼女の胸の蕾と、空いたほうの手で核心を同時に刺激する。
「いやっ。いっぺんにしないでっ」
悲鳴に近い声で彼女が鳴く。
「イヤじゃないでしょ?また締め付けてる。キツすぎ。そんなに締めたら出ちゃうよ?」
彼女の核心を押しつぶすように刺激をすると身体全体を震わせながら高い声で鳴き、オレの胸に崩れ落ちた。
「あーあ、騎乗位でもイっちゃったね」
受け止めた背中を撫でただけで、また身体が震える。
全身性感帯、といったところだろうか。
余韻に浸りたいだろうところ申し訳ないが、さっきからの激しい締め付けにオレももうそう長くは耐えられそうにない。
一度引き抜くと、彼女の秘所からはまた愛液がシーツに流れ落ちる。
うつぶせのままの彼女の背後に回り、腰をもちあげる。
そのままバックの体勢で彼女の中に再び侵入する。
「いやぁっ、まっ、待って!」
「ごめん待てない」
ナース服がまとわりついたままの腰を抱きかかえ、自分の腰を何度も何度も打ちつける。
彼女のあえぎ声がどんどんかすれていく。
「くっ…粟飯原さん、もうイキそう」
「んっ…やっ。名前っ…呼んでっ」
最後の力を振り絞るかのように、振り返ってオレを見つめる彼女の目は潤んでいて。
「…結子っ、あぁっ」
その目と言葉にやられたオレは、痙攣する彼女の中に薄い膜1枚隔てて欲望を全て吐き出した。
年甲斐もなく、長い長い射精感。
最後の一滴まで出し切ると、また彼女の中はきゅうっと締め付け、しぼんだオレのムスコを外へ押し出した。
「あ、追い出された」
「んもうっ」
乱れた呼吸を整えながら、ベッドにうっつぷした彼女が頬を膨らませる。
「いっつも思うんだけど、萎んだチンコなんて用済みよ、早く出てってって言われてるみたい」
「やだ、人聞きの悪い」
手早く自分と彼女の後処理を済ませると、力を使い果たしたかのごとく脱力している彼女の隣に横になる。
眉間にしわを寄せた彼女の髪を撫でる。
抱き合う前はきれいにまとめられた髪はところどころほつれ、それはそれで色っぽい。
よほど撫でられるのが好きなのか、すぐに眉間のしわはなくなり、とろんとした目になる。
「ダメだよ、寝たら」
「ですよね、でもこのまま眠っちゃいたい…」
「少し休憩したら帰りますよ?お互い待ってる人がいるんですから」
「なんか今の言葉だけきくと、不倫カップルみたいですね」
「確かに」
実際には待っているのはお互い人ではなくて犬だし、バツイチの一人暮らし同士なんだけど。
「でもなんかイケナイ関係っぽくていいかも」
そう言いながら抱きついてくる彼女の身体を抱きしめる。
…イケナイ関係、か。
今の2人ならイケナイことなんてないはずなのに。
そう思ってもそれを口に出せないオレは臆病すぎるだろうか。
「ほら、寝ちゃダメだって」
ウトウトしだした彼女の丸出しになったお尻を撫でる。
「エッチぃ」
そう反論しながらも、夢の中へ引きずり込まれそうになっている彼女をどうやって連れて帰るか考えながら、出るはずもない二人の関係の答えを頭の中で考え続けていた。