〈悲哀奴隷・銭森瑠璃子〉-8
『……架純ちゃんと大翔君ねえ?大翔君なら使い道も無えし、帰してやってもイイぜ?』
専務の譲歩に、少しだけ口元に笑みが生まれた。
しかし、次の言葉に瑠璃子は再び戦慄を覚えた。
『用が無え奴ってコトだ。架純さえいれば、アイツは死んでも構わねえよ』
(!!!!)
心胆から恐れ戦かされる台詞……最初の要求通りに自分が男達を満足させなければ、間違いなく大翔は殺される……さっきの言葉は譲歩などではない……。
『分かったか?お前が素直になるかどうかで決まるんだ。分かったらさっさとオ〇ニーを続けろ!!』
耳元で叫ばれ、瑠璃子は驚いたように身体を竦めると、ボロボロと涙を流しながら再び腰を揺り動かした。
「架純を…大翔さんを……春奈を……お願い助けて下さいぃ!!」
過去の所業を聞いて、もう自分は助からないと思えた。
単身で戦えるほど春奈は強くないし、八代は自分の失踪を秘匿し続けるはずだから、他の誰かの救助も有り得ない。
ならば目の前の二人だけは……。
何も知らない妹だけは……。
それは刑事としてのものではなく、一人の女として、姉としての感情に他ならなかった。
『だから、お前が俺達を満足させ続けてるうちは手は出さないよ』
『忘れらんねえくらい気持ち良い思いさせてみろよ?離したくないって思わせてみろ?』
『八代にいろいろ教えてもらってたんだろ?その“成果”を発揮すりゃイイんだよ』
身勝手極まる台詞も、心ない罵りも、今は瑠璃子の心を傷付けはしなかった。
自分の滅私奉公でしか、友人や妹を救えないのだから。
(やめてッ!!助けて麻里子お姉さん…!!!)
部下達は遂にパンティーの中に指を入れ始め、性器や肛門に指を突き立てた。
不意に姉に助けを求めた瑠璃子だったが、その姉はこれから連れていかれる異国にいるのだと思い返した。
完全なる孤独。
未だかなぐり捨てきれない羞恥心を嘲笑うように、装飾のみの貧弱なパンティーは下半身から引き抜かれ、がに股の股間は性器も肛門も丸出しにしていた。
悔恨と屈辱の最中にも性器は潤い、潜っていく指先の蠢きにクチャクチャと要らぬ囁きを発していた。
『なんだこの音は?友達の彼氏が殺されるかもしれねえ時に、呑気に濡らしてやがるぜ?』
恐怖の最中の愛撫に女体が感じる訳はない。
しかし、それでも濡れてしまったのは、この鬼畜達の慰み者になって友人達を救う為の、その使命感から自ら堕ちたのかもしれない。