晴れの日にまた会いましょう-5
「泣くなって」
彼はそう言いながら自らもしゃがんで、あたしの頭を撫でてくれた。
「顔あげて?」
でも…涙で化粧は崩れるし、たぶん目も鼻も赤くなっちゃってる…
顔を上げるのをためらっていると彼があたしの頭に手を乗せてポンポンと叩いた。
「陽さ…」
「もう『さん』は要らない」
「よう…?」
あたしは顔を上げて彼の名前を呼ぶ。
『陽が好き』という気持ちを噛み締めながら。
「そうそう。奏、もう日が暮れるし帰ろうか」
「はい!」
あたしは彼の手をつかんで立ち上がる。
どちらからともなく手をつなぎ、バイクまで歩く。
砂浜を歩きながら、ぽつぽつと会話を交わす。
「ねーねー、車乗っけてくれる?」
「いいよ」
「ねーねー、いつからあたしのこと好きだったのー?」
「秘密ー」
「ねーねー、一年後の今日もまたここに来ようね」
「そうだな」
―…ザン…ザン…ザン…―
波の音が心地好い。
「…ねーねー、陽。…また晴れの日に会える?」
「当たり前だろ」
彼は笑って、
あたしの唇にキスを落とした。