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晴れの日にまた会いましょう
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晴れの日にまた会いましょう-1

あたしは雨が大嫌いだ。
バスなんか殺人的に混むし、くせっ毛だから湿気で髪がはねるし、足元がびちゃびちゃになるし。
そんなあたしにも「雨っていいな」って思える瞬間はある。
例えば、夜に降ったりすると雨音を聞きながら寝るのはとても心地がいい。
そしてもう1つの理由は…

5月。
まだ梅雨までは1月あるのに最近よく雨が降る。
今日も雨。
起きて早々、窓を開けて憂欝になる。
あたし、篠原奏(かな)は高校3年生。
こんな雨の日はバス通学のあたしにとっては憂欝以外の何ものでもない。普段自転車で通学してる学生や、バイクやスクーターで通勤してる社会人が一気にバスに押し寄せる。

はぁ…

大きく息を吐いてパジャマを脱いで制服を着る。
顔洗って、ご飯食べて、歯みがいて、髪型整えて、けばくならない程度に化粧して。
おし、行くか!
化粧した顔を鏡に映して気合いをいれる。

「いってきまーす」

傘をさして雨をしのぎながらバス停へ。

ふぅ…

最寄りのバス停には屋根があるだけまだマシかな。なかったらバスに乗る直前まで傘さしてなきゃいけないし。
そんなことを思いながらバス停に着いたあたしは傘をたたむ。

お、バスだ。
後方よりバス発見。
いつもだいたい3分くらいは遅れるのに今日は定刻どおり。
めずらしい。

整理券をとって1番後ろの席に座る。
…あれ?
座れるのもこれまた珍しいことだ。

あーあー、あんなにごった返しちゃって。
次のバス停ではえらくたくさんの人が乗車した。その中に―…

いた!

グレーのスーツに青のネクタイのその姿はバスに乗り込むところだった。
あたしの見立てだと歳は20代真ん中…25か26ってとこかな。あたしの兄ちゃんと同じ歳くらい。
背は高い方。1回だけ隣に立ったことがあるけどあたしより明らかに高かった。あたしが162だから180くらいはあるかも。
残念なのは名前が分かんないことなんだよなー…声だって聞いたことないし、そして…雨の日しか彼を見れないこと。
ぼーっとしながらその彼を目で追っていると…後部座席の方へ歩きだす彼。

あ、後ろに座るのか…って、え?え?

「隣、よろしいですか?」「え、あ、はい、どーぞ」

なんだか緊張して片言の日本語になってしまったあたしの隣に「ありがとう」と言って彼が座った。
いえいえ、むしろこっちがありがとうです!と、心の中であたしが思ったのは彼には秘密。


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