晴れの日にまた会いましょう-3
「あ…歳は?おいくつですか?」
「歳?歳は25。奏ちゃんは18くらい?」
「すごい!あたりです!4月に18になったばっかりなんです」
「やっぱり?」
「え?やっぱりって…」
「あ、もう行かなきゃ。また会おうな。」
「あ…」
行っちゃった…
てゆーか、「やっぱり」って何…?あたしのこと、知ってるの?
でも25っていえば兄ちゃんと同学年。小学校と中学校は同学区だし、何か知ってるかも!
学校の帰り。
あたしは早く彼のことが知りたくて、朝から兄ちゃんに何回もメールも電話したけど兄ちゃんから返事がくる気配はない。
仕方ない…強行手段だ!
ってことであたしは彼がいつも降りるバス停の前にあるカフェで待ち伏せ中。
窓側に座ったから陽さんを見逃すことはない。
ケータイの液晶時計は10時をまわったところだった。門限まであと1時間。
もうそろそろ帰らないと間に合わないな…
10時16分。
バスがやってきた。
さすがにこの時間は人が少ないな…
車内を見渡しながら、あたしはいつもの席に座る。
バスから伝わる心地よい振動で睡魔が襲ってきた。
一眠りするかな…陽さん…に…会いたかった…な…
…やばっ!
最寄りのバス停に着いたというアナウンスが遠い意識の向こうで聞こえた。
あぶなーい、寝過ごすとこだった!
あたしは慌てて立ち上がる。
ヒラッ…
え?
あたしの膝の上から滑り落ちた一枚の紙切れ。
あ…電話番号とメアド?
その下に、小さく『陽』と書かれてあった。
陽さん…?まさかバスに乗ってたの?
あたしはバス停から家まで全力疾走して、未だかつてないくらいの勢いでご飯をたいらげて、お風呂に入って自分の部屋に戻った。
それまでは一刻も早くメールしたい!って気持ちでいっぱいだったけれど、いざ番号とメールアドレスの紙切れとケータイを握り締めるとためらいが生まれる。いきなりメールしたら迷惑かな…でもメールしてもいいからメアド教えてくれたんだよね…?
思考を出来るだけポジティブに持っていきながらあたしはメールを打つ。
悪いふうにはいくらでも考えられるしね。