世界中の誰よりもいちばん-25
「と、言う事はつまり、いつになく激しく感じていた秋子さんも…………」
「う、うむ………… そこは持ち前の想像力でだな…………」
なんて事だ、僕らはふたりして想像の中のお互いとSEXしていたという事らしい。
「…………たしかにこれじゃ自慰行為の延長と言わざる得ませんね」
「つまりはそういう意味だよ…… わかってくれたか?」
秋子さんはそう言うと、なんだかホッとした様子で僕に唇を重ねてきた。
「…………で、でもっ」
「な、なんだっ まだ何か疑問があるのか?」
「甘んじてSEXが自慰行為の延長だとしても、
それを僕が誰かとすることに、本当に秋子さんは何も感じ無いんですか?」
そう、僕が怒っていたのは別にSEXを自慰行為の延長と考える事ではない。
それを僕がする事に、秋子さんが何も感じ無いのかという事なのだ。
「ま、待てっ 落ち着け和也? 私はそんな事ひとことも言ってないだろう?」
「だ、だって美咲さんはっ
別に僕が誰かとSEXしたとしてもきっと何も変わらないだろうって…………」
僕は思わず興奮気味にそう言うも、
次の秋子さんの言葉を聞くのをどこか怯えてしまい、
思わず目を伏せ顔を背けてしまった。
「まったく…… 普段はあんなにもしっかりしているくせに…………
私の事になるとどうしてそうもお子様なんだ君は?」
僕の顔を強引に振り向かせるや、僕の唇を再び塞ぎ込む秋子さん。
さっきの物憂げなキスとは一変して今度はとても濃厚な、
熱い舌をこれでもかといわんばかりに絡める大人のキスだ。
「誰が何も変わらないって? いくら私が感情表現が苦手だからと言えど、
さすがにそれはありえないと思わないのか?」
「で、でもっ…………」
言葉に詰まる僕を見て、秋子さんは少し呆れたような溜息をつくも、
もう一度軽く唇を重ねては、突然、右手で僕の陰部を握りしめてきた。
「い、痛っ 秋子さん?」
「一度しか言わないからよく聞け? これは私のものだ、誰にも渡さん!」
「わ、私のものって…………」
「私のだと言ったら私のだっ! 浮気も本気も絶対に認めん!
もしもそんな事をしてみろ? それこそナマスに刻んで…………」
「し、しませんっ しませんよ絶対にっ!!!」
なんだか想像していた以上にその物言いは、リアリティに溢れていた。