投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

あいかわらずなボクら
【青春 恋愛小説】

あいかわらずなボクらの最初へ あいかわらずなボクら 8 あいかわらずなボクら 10 あいかわらずなボクらの最後へ

VS歩仁内-9

そんな俺達をたしなめるかのように、沙織はゴホッと咳払いをしてから、


「……あの、桃子の具合はどうですか?」


と、石澤母に訊ねた。


すると石澤母は頬に手をあてて、


「まだ熱が結構あるのよね……。午前中は病院に連れて行って点滴もしてきたんだけど、なかなか下がらなくて……」


と、やや難しい顔をした。


それを聞いて、やはり二人きりになるのは無理だろうなと少し落胆した。


そもそも初対面の石澤母はインパクトが強過ぎて、どうしても萎縮してしまうし、この場で俺一人が残るのはどう考えても不自然だし。


今日の所は引き下がった方が良さそうだ。


そんなことを思っていると、隣に立っていた歩仁内が心配そうな顔をして、


「そんなに体調悪いなら、お邪魔しない方がいいよね」


と、みんなの顔を見回した。


「……そうだね、今日の所は帰ろっか」


沙織の言葉にみんなが頷くので、もちろん俺も同じように頷いた。


「あら、わざわざ来てくれたのに。せめてお茶でも飲んで行ったら?」


石澤母は受け取ったゼリーの箱を見つめてから沙織に言った。


「お言葉はありがたいんですが、僕達はまだ生徒会の仕事の途中だったんで、今日の所は遠慮します」


すかさず歩仁内がそう言って頭を下げた。


まあ、体のいい言い訳だ。さすが歩仁内。


しかし、うんうんと納得している俺を尻目に、奴はとんでもない言葉を続けたのである。




あいかわらずなボクらの最初へ あいかわらずなボクら 8 あいかわらずなボクら 10 あいかわらずなボクらの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前