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あいかわらずなボクら
【青春 恋愛小説】

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VS歩仁内-6

楽しそうに笑いながら二人乗りをしている倫平と沙織。


そのすぐ後ろに並んで自転車を走らせながらほんわかと微笑み合う歩仁内と本間江里子。


こうして一歩離れた所で見ても、この二組は恋人らしい独特の甘い空気を漂わせていて、俺は少し肩身が狭く感じた。


石澤とは一緒にいることが多いものの、俺のふざけて話すクセもあり、石澤をからかって怒らせて……という友達感覚からずっと抜け出せないままだった。


実はキスだって、始業式の前日にしたっきり。


正直、あの日のことを思い出すと顔から火が出そうなくらい恥ずかしくて、穴があったら入りたいほどだ。


なんてガラにもないことやっちまったんだって。


最近気付いたのだが、どうやら俺は恋人同士の甘い空気ってのが苦手らしく、アイツと顔合わすと結局バカをやってわざと怒らせて楽しんでしまう。


以前、沙織にキスを一度したっきりで、なかなか次に進めない倫平に、“一回したならどんどんしちゃえばいいだろ”なんて説教たれたこともあった。


今思えば、よくあんな偉そうなことを言えたもんだと、今さらながら自分に呆れてしまう。


石澤は付き合うのが初めてらしいし、男の俺がリードしなければって気持ちはあるが、アイツもアイツでそういう雰囲気に持ち込もうとすると異常に恥ずかしがるし、つい二の足を踏む状態のままだった。


こんなことは他人と比べても仕方ない、とは頭ではわかっていても、こうやってよそのカップルが仲睦まじくしている様子を目の当たりにすると、少しだけ焦る。


でも焦るだけで、何かをするかと言えば何もしない。


俺は、そんな不甲斐ない自分に思いっきりため息を吐いて、慣れない自転車をゆっくり漕ぎ始めた。




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