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あいかわらずなボクら
【青春 恋愛小説】

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VS歩仁内-10

「でも、この土橋くんが今日の授業の内容をノートにまとめてきたそうなので、ここはみんなを代表して彼にお見舞いをお願いしようと思ってるんですけど……。彼、こう見えてすごく頭がいいんです」


突然、歩仁内が俺の肩を叩いてそんなわけのわからない事を言い出した。


しかも“こう見えて”って、お前の目には、俺はどれだけバカに見えてんだよ。


さり気なく歩仁内に睨みをきかせても、奴はやっぱり意味深に微笑むだけ。


ハッキリ言って俺は頭が悪い。


ゴールデンウイーク明けに行われた定期考査の結果たるや、無惨としか言いようがなく、いつも温厚なうちの担任ですら、怒鳴りつけたいのを我慢して、懇々と小学生に諭すように勉強の大切さを説いたほどだった。


まあ、今は俺の学力の話などどうでもいい。


問題は、歩仁内が平然とそんな嘘を吐いてまで、俺一人をここに残そうと企んでいたことなのだ。


歩仁内は律儀に俺と石澤を二人きりにしたいらしいが、アイツが点滴打つほど体調悪いならイチャつく所じゃないだろうし、そもそも石澤がいない所で石澤母と二人になる方が怖かった。


俺は歩仁内に目配せしながら、


「でも点滴打つほどひどいなら、今日はこのまま帰った方がいいって」


と、俺の心の内を汲んでくれるよう一生懸命アピールした。


だが、歩仁内はニヤリと笑うと、


「でも顔くらい見せてやれよ。彼氏の顔見たら元気が出るかもしれないだろ?」


と、わざとらしく大きな声でそう言った。


「バッ……」


カ野郎、と続けて言うつもりが石澤母の手前、慌てて口を噤む。


小憎たらしい歩仁内のにやけ顔が俺を見つめている。


みんなも歩仁内の意図を理解したらしく、気持ち悪い笑みを一斉にこちらに向けてきた。


……コイツら、絶対面白がってやがる。


「……だから、病人に気を遣わせたら悪いだろ」


そんな状況で、俺はなんとかみんなと帰る言い訳を考えていたが、もはや時すでに遅く、


「……彼氏……?」


と、石澤母がジロッと俺を凝視していた。




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