私にも気持ちいいこと教えて下さい-18
「え、えぇっ? 待って待って? えと………… あれ?」
「意地悪しないでくださいっ 私、ホントに真剣に悩んでるんです!」
「い、意地悪なんてしないし真剣なのはもちろんわかってるよ!」
「だったらっ お願いします! 私にその解消方法とやらを教えて下さい!!!」
さっきまでの項垂れていた様子とは打って変わり、
まるで教師に解らない問題を問い詰めるかの如く、
真剣な目で僕から欲求解消の処理方法を聞き出そうとしている風音。
風音は確かいま高校三年生で、成績も優秀ないわゆる優等生。
その風音が冗談でこんな事を言ってくるわけもなく、
もしかして本気でそういう知識が無いのだろうか?
「か、風音ちゃん落ち着いて? とりあえず………… 本気で言ってるんだよね?」
「もちろんです! 本気で私、どうしたらいいのか知りたいんです!」
「え、えとっ 知りたいっていうのはその…………」
「だ・か・らっ 欲求を解消する処理方法です!!!」
うん、ここまで真面目に言われると信じざるを得ない。
むしろ狼狽えている僕の方が子供みたいだ。
「わ、わかった教える、教えるけれどその前にさ…………」
「はい?」
「少し別の質問をしてもいいかな?」
「質問ですか? 私に答えられる事ならかまいませんけど?」
僕は風音の真剣な目を信じて、カウンセラーモードにはいると、
枕元から例の本を取り出して風音にそれを見せた。
「これは風音ちゃんのだね?」
「!? やっ! ち、違うのっ…… それはその雨宮さんに…………」
「恥ずかしがらなくてもいいよ?
所有者はともあれ少なくとも風音ちゃんはこの本を読んだんだよね?」
「…………は、はい」
「僕もさっき少し読ませてもらったけど、風音ちゃんはどういう気分になった?」
「ど、どういう気分って………… それは…………」
「悶々として…… エッチな気分に…………?」
「…………な、なりました」
なんだかセクハラ尋問のようで心苦しかったが、
僕は少しでも風音の情報を引き出そうと必死に言葉を続けた。
「この本でも確か似たシーンあったよね? 主人公がエッチな妄想して…………」
「…………はい」
「その時、主人公の女の子は何をしてたんだっけ?」
「な、何って………… それはその…………」
まったくもって破廉恥な質問だと思う。
カウンセリングでなければとっくに警察に突き出されても不思議はない。
「風音ちゃんさ? 保体でマスターベーションって習ったよね?」
「………………はい」
「別名オナニーとか自慰とか言われるんだけど…………」
「……………………け、汚らわしいです」
「え?」
「お母様から…… け、汚らわしい破廉恥行為だと教わりました」
そう呟きながら、どこか恨めしそうに唇を噛みしめる風音。
僕は予想だにしなかったその言葉に、驚いて思わず絶句してしまった。