私にも気持ちいいこと教えて下さい-14
「え? あ、ごめんっ なんか僕、気安かったかな…………?」
狼狽える僕を見て必死で首を振る風音。
「ち、違うんです! 変な態度取ってごめんなさいっ その、驚いちゃって……」
恥ずかしそうにうつむいた風音は、
少しビクビクしながらも、また僕のほうへとゆっくり近寄って来た。
「ほ、本当にごめんなさい………… 私、その…………」
「いいよいいよっ いきなり触られちゃびっくりするよね?」
「は、はい………… それもあるんですけど…………」
「うん? あ、ひょっとして僕に襲われるんじゃないかとか…………」
「ち、違いますっ 遠藤さんは絶対そんな事しませんっ!」
力強く首を振りながらその言葉を否定する風音。
それはもちろん僕を信じてくれているという意味なんだろうけど、
さっきまで少なからず、そのふくよかな胸元や色っぽい唇に反応しちゃった僕としては、
そこまで手放しに信頼されてしまうのもなんだか少し気が引けてしまう。
「わ、私………… その、昨日言ったように少し潔癖なところがあって…………」
「ああ、そう言えば言っていたね? たしか性的な部分において………… だっけ?」
「は、はい………… 性的な部分しかりいわゆる異性に対して…………」
「つまり異性に触れたり触れられたりするのに抵抗がある…………と?」
ゆっくりと首を縦に振りながら、まるで息を整えるように胸に手を当てる風音。
僕がしばらくその様子をうかがっていると、
風音は大きく深呼吸をしては顔を上げ、まるで意を決したかのように言葉を続けた。
「抵抗と言うより………… その…… い、意識しちゃうんです」
「意識? 異性に対してって事だよね?」
「はい…………」
「そんなの風音ちゃんくらいの歳なら当たり前だよ? それこそ男なんて……」
「ち、違うんですっ そ、その私………… きっと変態なんです…………」
頬を真っ赤に紅潮させる風音。
変態? 風音ちゃんが? たかだか異性を意識する程度で?
僕は少し頭の中が混乱したが、恥ずかしさから小刻みに肩を震わす風音を目にするや、
とにかく何か言ってあげなきゃと必死で言葉を紡いでいった。