歪な愛し方-1
雅の眩しい笑顔にヒビが入り、ガラガラと音を立てながら崩れ落ちていく気がした。
執拗に性器を責められて涙ながらにも感じているその姿に、裏切られたような気持ちになった。
出来のよすぎる兄弟を持つ痛みは、快楽の前ではちっぽけなもので、俺みたいな怖そうな男がタイプだと言った桝谷の言葉が薄っぺらに感じた。
結局、雅も兄貴の前では軽々しく股を開き――しかも、縛られて責められるような愛され方をしてよがるような、ただの淫乱女だったんだ。
「あっ、ああ……っ、またイッちゃう……」
「いいよ、気の済むまでイキな」
兄貴の声こそ優しいものの、秘裂から出たり入ったりする指の動きは激しく荒々しい。
グチュ、グチュ、と溢れかえる愛液の音を奏でながら、兄貴は雅に熱いキスを注いだ。
雅を兄貴に取られて、この二人に激しい憎しみが沸き上がっているのに、ますます熱を持つ俺のぺニス。
こんなにも悔しいのに、反応してしまう身体に腹が立つ。
ムカつくのに、右手が無意識のうちにソレに伸びていって、気が付けば無我夢中でソレを上下にしごいていた。
「あんっ……、イヤ……、イ、ク……」
「雅はイヤらしい女だね。もうベトベトだよ」
「ち、違……う、あた……しは……そんな女じゃな……」
「いや、そんな女だよ。その証拠にホラ」
兄貴は絶頂寸前の雅の目の前に、さっきまでヴァギナに入れていた人差し指と中指を突きつけて、それをくっつけたり離したりしている。
「違……」
涙で頬を濡らす彼女。
その視線の先には、夕焼けに照らされ、指の間を伝う雅の体液がキラキラ光っていた。
それを見ていた俺はもはや爆発寸前で。激しくしごかれるぺニスも絶頂の瞬間を迎える所まできていた。
雅の見せかけの純粋さに裏切られ、悔しさでいっぱいなのに、この右手を止めることは不可能だった。
小さく息を弾ませる俺は、もはや絶頂に向かうことしか頭になく、今まさにそれを迎えようとしていた時にもう一人の自分が脳内にブレーキをかけようとしていた。
やべえ、ティッシュ!
でもそのブレーキは昇りかかった身体にはなんの役にも立たなかった。
右手で一心不乱にアレを動かしつつ、左手で肩に掛けていたカバンのファスナーを開け、手探りでポケットティッシュを掴む。
カバンの底に押し込められていた新品同様のポケットティッシュを取り出そうとしたその時、中に入っていた、雅に貸すつもりのCDジャケットが引っ掛かった。
まずい……!
しかし次の瞬間、それは床へと落下してカシャーンと割れる音を発していた。