第三部 能力の代償-3
「じゃあ綾原は…?」
「あたしは良いの…。あたしはもう人殺しちゃってるし、それから逃げようとしてる、唯の犯罪者だから。」
「けど正当防衛って事になんじゃねえの?」
「普通では有り得ない殺し方だからそれは分からない。まずばれないと思うけど…。」
「そっか…。」
「暴露た時は素直に罪を認めるから…大丈夫…。」
二人はそれから暫く世間話をし、お互いのメールアドレスを交換し、真十は神奈の家から帰る。
時刻は17時39分だ。
真十は暗がりつつある夜の歩く。
あえて大室の死体のある筈の道は避け、違う道から家に向かう。
真十は内心で宮内の存在に不安を抱いていた。
(あいつ生きてんだよな…。俺達が警察に事件の事を話さねえって事はあいつも捕まんねえって事だよな…。そしたらやっぱりあの子もまだ狙われて、俺も狙われる…かもしんねえ…。)
そう思うと、周りを見て、警戒する。
そこには何も無かったが、一応不安は持っていた。
一方、神奈も宮内の事に就いて考えていた。
(宮内…あいつは生きている…。恐らく雇われたなら、金を得る為にもう一度あたしを殺しに来る…。もしかしたら神崎も口封じに殺される…。
その前にあたしがあいつを殺さなきゃ…。)
そう思うと拳を握り締める。
その頃、ひと気の無い路上のすみで宮内が切断された右腕の関節を押さえていた。
宮内はまだ痛みが収まらない感じで体力も消耗し切っていた。
それでも立ち、歩き始める。
しかし体力不足で倒れ、気絶する。
そして彼の前に黒衣に白い仮面で顔を覆った者が彼の前に現れる。