初めての看病-2
「無事?」
「うん。時間の約束をしなかったのでとりあえず朝の8時に来てみたんだ」
朝の、、、8時?
「12時ぐらいに、もしかしたら風邪をひいたか事故かな?と思ったんだけど」
・・・・・
「でも、ここを離れるわけにはいかなかったので、とりあえず待ってみた」
とりあえずって、いまはもう22時だよ・・・
「無事でよかったよ」
にっこり笑った近藤君は寒さからか、声とからだが震えていた。
よく見るとジーンズの裾が濡れている。
「傘をささなくてもいいところで待ってればいいのに」
あたしは約束を忘れた自分を棚に上げて
非難するように近藤君に言う。
「この場所が1番良く、見渡せるから。だから、今もすぐに片山さんがわかったよ」
少し得意げに言う彼を心底バカだと思った。
「じゃぁ、片山さんの無事も確認できたし帰るよ」
そういうと
「ちょっと・・・帰るの?」と
引き止めるあたしに
「もう遅いしね」と軽く手を振って
そのまま駅の中に消えていった。
家に帰ってお風呂に浸かっても
ベッドに入っても
彼のバカ正直さにイライラ来ていた。
イライラは近藤君に向けていたものなのか
自分に向けていたものなのか
よくわからなくなってきた頃
あたしはやっと眠りについた。