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魔眼王子と飛竜の姫騎士
【ファンタジー 官能小説】

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鉄格子の向こう側 *性描写-12


 ***

……とはいえ、ツァイロンはひたすら用心深く、命のかけらの保管部屋は、滅多に開かれない。
 なかなか機会に恵まれず、ミスカが自室で次の手段をあれこれ模索していた時だった。

「はぁ〜い❤おひさしぶりぃ!」

 けたたましい声とともに、ミスカの部屋へミュリエルが飛び込んできた。
 普段はジェラッドにいる彼女だが、時おり海底城に戻ってくると、ミスカの部屋に必ずくる。
 あまりのうざったさで、他の実用タイプから避けられまくっているミュリエルに、どうやら妙に気に入られてしまっているようだ。

「見てみてぇ〜❤ジェラッドでカスを捕獲したらね、主さまがご褒美にくれたのぉ❤」

 首にかけた真珠の豪華なネックレスを指でつまむ、催促顔のミュリエルに、気のない相槌をうつ。

「あー、うん。似合ってんじゃねーの」

 別にどうでもいいのだが、褒めるまで帰らないだろう。
 満足したらしいミュリエルが、ポンと両手を打ち合わせる。

「あ!そうそう、エリアスって結構可愛いわよねぇ❤」

「……は?」

 基本的に、誰だろうと見下しまくっているミュリエルから、意外なセリフが飛び出て耳を疑う。

「今回の捕獲でも、なかなか使えたしぃ、玩具に欲しいってぇ、主さまに今度おねだりしてみよっかしらぁ❤」

「エリアスに手ぇ出したら、化粧を残らず溶かし落とすぞ」

 寝台に寝転んだまま、厚化粧の顔を睨む。
 水さしから触手を持ち上げ、警告に降ってやると、ミュリエルは青ざめて後ずさった。

「ひっどぉぉい!最低男!!鬼畜!!サディスト!」

「……お前にだけは、言われたくねーな。それから下着くらいつけろ」

 仰向けに寝転んだミスカから、前面だけ極端に短いスカートの中が丸見えだ。

「いやん❤触らせてあげないわよ」

 くねくね脚を擦り合わせるミュリエルに、冷たい視線を向けた。
 まったく、いつみても幸せそうなヤツだ。

「お前は大事な奴なんかいないんだろうな」

「失礼ねぇ!ちゃぁんといるわよぉ」

 頬をふくらませ、ミュエリエルは抗議する。紫の唇をにぃっと歪め、ミスカに一歩近づいた。

「ミュリエルはぁ、世界でいっちばぁん、ミュリエルがだいすきぃ!❤❤❤」

 高々と宣言し、ついでに小さな手鏡まで取り出し、うっとりと眺めている。

「……そんなこったろうと思ったよ」

 脱力しかかったが、ふと気付く。
 ミュリエルの主は、このけたたましい作品を溺愛していて、やたらこまめに検診をうけさせるのだ。

「なぁ、ミュリエル。せっかく来たんだ。ついでに検診も受けるのか?」

「あ❤そーなのぉ。最近ちょっと、お肌の調子が悪くってェ。あと少ししたら時間が空くからって、主さまがぁ……」

「はいはい。そんじゃ、早く行ってこいよ」

 ミュリエルの背中を押して、部屋から追い出した。
 もちろん白いのドレスのフリルに、水触手を1滴、こっそりつけて。




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