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魔眼王子と飛竜の姫騎士
【ファンタジー 官能小説】

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鉄格子の向こう側 *性描写-11


 ***

 身体の時を止めた者ばかりの海底城では、時間間隔も曖昧になっていく。
 ふと気付けば、エリアスがストシェーダの魔眼王子に仕えてから、もう十年以上も経っていた。

(俺は、何やってんだかなぁ……)

 ゼノの風呂場で焼け焦げた髪の先を切り揃えながら、溜め息が出る。
 これだけ嫌われていても、エリアスはやっぱり可愛くて、会うたびに抱かずにいられない。
 エリアスが本当は快楽に弱い事をミスカだけが知っていて、卑怯な手段で追い詰めているだけなのに、いつも最後はすがり付いてくるから、諦めきれない。
 まるで中毒だ。
 傍らには、すっかり冷めてしまった不味そうな麺が、丼の中でのびていた。
 どの食べ物の味も、今ではちゃんとわかるけど、美味いとも思わない。腹が減るから食べる。それだけだ。
 ただし苺だけは、今でも好物だった。
 あの赤い実を見るたび、ツァイロンの『最高傑作』なんて、たいしたものじゃないと思う。

“ エリアスに、幸せそうな笑みを浮べさせる ”

 苺一粒に出来る事が、ミスカにはできない。

(……命のかけら、か)

 ふと、思考の矛先が別に向いた。
 あれさえ奪いかえせば、自由になれる。
 一生追い続けられるだろうが、飼い殺しよりはましだ。それに……。

――いっそ何もかも忘れ、エリアスと二度と会わなければ、諦めもつくかもしれない。

 ふとした思い付きは、頭から離れなくなった。
 ツァイロンに、エリアスの定期健診をしてくれるように頼み、水盤から引き抜いたエリアスに抱きついた時、そっと小さな水触手を背中に張付けた。
 たった水1滴分の大きさだ。エリアスもツァイロンも気付かなかった。
 部屋で全神経を集中して、水触手をツァイロンの靴に移動させ、命のかけらを取り出す様子を覗き見た。
 ただ、部屋の扉をあける肝心の呪文が、上手く聞き取れなかった。
 部屋を出たツァイロンをそのまま見ていると、エリアスに性奉仕させ始めた。

「――昔、お前が魔力増幅を強請った時は、正直に言うと厄介な失敗作だと思ったが」

 骨ばった手で、ゆっくりエリアスの頭をなでる。

「先は必ずしもわからないものだな。お前を作ったのは成功だった」

 それを聞いたエリアスが、不意に顔をあげた。あの蕩けそうな笑みが、わずかに浮かびかかるのが、水触手を通してはっきり見えた。
 しかし、それはきちんと現れることなく、つづいたツァイロンのセリフに霧散されていた。

(そういうことか……)

 水触手を通して見ることで、かえって客観的に見れたのだろう。その瞬間に全て察知できた。
 エリアスが何を欲しがり、どんなにミスカを憎悪しているか……。
 冷や汗が全身を伝う。
 認めたくない絶望から逃げるように、水触手で部屋から出たツァイロンの様子を観察し続けた。
 しかし、ツァイロンは命のかけらの保管部屋へまた脚を運ぶ事はなく、かわりに思いも寄らぬ訪問者が、水触手を操る集中をかき消した。

「――貴方の気が済むまで、たっぷりご奉仕しますよ」

 寝台へミスカを押し倒すエリアスは、怒りと悔しさで泣きだしそうな顔をしていた。
 どれほどエリアスを傷つけていたのか、思い知った。
 ミスカが何の価値も感じていなかったモノは、エリアスが欲しくてたまらないモノだった。
 ツァイロンに餌として与えられたエリアスが、どんな思いでミスカに貪り喰われていたか……罪の深さを思い知らされた。
 同時に腹立たしかった。
 エリアスを道具にしか見なしてないツァイロンより、自分のほうが何千倍もエリアスを大好きなのに。

 「悪いな、お前にご奉仕はされたくねーんだ。足腰立たなくなるまで犯られたくなけりゃ、さっさと帰れ」

 叫びそうになった本音を、やっとの思いで噛み殺し、代わりにそう言った。
 どんなに叫んだって、もう絶対に届かない。
 エリアスを部屋から追い出し、何があっても命のかけらを奪い取ろうと、改めて決心した。

 ただし、さっきまでとは全く違う目的で。




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