戸惑い〜始まりの日〜-4
コト。
「ほんまに恥ずかしいやっちゃなぁ、おまえは。ところ構わず叫ぶなや」
昂太がコーヒーを机に置きながら言う。
「ごめん…」
まともに昂太の顔を見れへんあたしはカップに視線を落としながら言葉を続ける。
「…会いたかったんやないの」
言わな。伝えるんや。
「なんや、気色悪い」
大丈夫。あたしは言える。
「…気色悪くてもどうでもいいわ。色々悩んだし考えたけど、やっぱりあたしはあんたに会いたかったんよ。あたし…」
「好きや。」
…え?
あたしは思わず顔をあげて昂太を見る。
「え、もっかい…」
「もう言いたないわ!あー、はずかしい」
目の前には顔が真っ赤な昂太。
「昂太…赤い」
「うるさい!」
「…ありがと。あたしも、好きやよ」
「…おい、もう飲みおわった?」
「え?あぁ、うん」
「行こか」
「え?え?」
昂太はあたしの分のカップを持って席を立ち、ずんずんと歩き始める。
あの感動的な告白から一体どうつながるのか分からんままあたしも慌てて後を追い掛ける。
階段を降りて、昂太は人気のないとこにあたしを導く。
「わっ!」
気付いた時にはもう昂太の腕の中やった。おずおずとあたしも腕を昂太の背中にまわす。
そして昂太がぽつりと呟いた。
「好きや…」
あたしも顔をあげて想いを伝える。
「あたしも好き」
昂太が微笑む。
それにつられたようにあたしも微笑む。
そして、
キスが降ってきた。
唇に。
それは昂太があたしを愛しい人だと認めてくれた証。
ねぇ、昂太。
あたし達はここから始まるんやね。
すごく遠回りしたけど、
もう大丈夫。
昂太、好きやよ。