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戸惑い
【幼馴染 官能小説】

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戸惑い〜始まりの日〜-3

前まではスウェットにすっぴんで会っても平気やったのに今日のあたしはなぜか少し意識している。
Gジャン、インナーはひらひらのキャミソールに細身の黒のパンツ。
靴はパンプスを履いて、化粧も目元に力を入れた。

玄関にある大きな姿見で自分の容姿を確認する。
うん、悪くない。
悪くない…はず。
てか、合コンでさえこんな気合い入った格好してったことないしなぁ…鏡の自分と目が合ってあたしは少し苦笑いをした。
ふと腕の時計を見やると…うわっ、もう出な間に合わんやん!
東京駅までうちから1時間。時計の針はもう14時30分を指していた。
ひったくるようにお気に入りのバッグを掴み、家を飛び出す。

電車の中でのあたしはかなり変な子やったと思う。どこかうわの空で、ぼーっとしとったから。
けれど悩んでいた反面、気持ちは急いていた。
会いたくないと思う反面、昂太に会いたいと思う自分がいた。
今すぐ。
一分、一秒でも早く……

場所は東京駅。
15時30分。
昂太はバスで来るらしい。あたしは近くのカフェで大好きなコーヒーをすすりながら待っていた。

コーヒーは昂太の薫り。カフェでバイトし始めた大学1回生の春から、昂太はコーヒーの薫りを纏うようになった。

「…ん?」

バッグの中でケータイが震えている。
…電話やん!

「昂太!?」
「さけぶな。いま着いた。どこにおるん?」
「えっと、バスターミナルの横の建物の二階にあるカフェに…」
「はいよ」

―ツーツーツー…―

一方的に電話をきられた。

「そんな一方的にきることないやんか…まったく」

そして目線を入り口に合わせる。あたしは入り口が見えるとこに座っている。
昂太が入ってきたらすぐ分かるように。

…あ!
黒い短い髪にグレーのパーカーのその姿と一瞬目が合う。

「こう…」

しかしその姿は素通り。
ってオイ!
この振り上げた右手をどないせえちゅうねん!

「あいつ〜!」

乗り出していた身も仕方なく椅子に収まらせて、手もおとなしく引っ込める。
その途端に小さな怒りも引っ込んで、不安が顔を出す。

昂太に言わなあかんこと。あたしは昂太が好きやってこと。
最初に体の関係が出来上がってしまって、普通とは順番違うけど。
もしかしたら昂太はその場限りのつもりやったかもしれん。
それでも。
もしあたしの想いを受け入れてくれなくても、伝えるんや。


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