告白2-14
「誕生日……?」
「うん、そう」
土橋くんは一生懸命携帯にストラップをつけようと苦戦しながら返事した。
「いつ……?」
「今日」
「誰の……?」
「俺の」
しばらくストラップと格闘していた土橋くんは、ようやく携帯につけることができると、満足そうにこちらを見た。
……が、私の顔を見てビクッと身体を強ばらせた。
「お、おい! 何泣いてんだ!?」
気付くとダラダラ涙が流れていた。
瞳を潤ませながらも気丈に笑いかける郁美の顔が浮かぶ。
強引に、今から土橋くんに会いに行けと言っていた郁美の意図が、ようやく理解できた。
今さらながら彼女の隠された優しさに気付いた私は、郁美にありがとうと伝えたくなった。
手に持っていた携帯を開こうとした所で、心配そうな顔をこちらに向ける彼の姿が目に入る。
……私は、もう郁美に電話しちゃいけないんだ。
もう友達に戻れなくなってしまった郁美のことを思うと、涙だけじゃなく鼻水までダラダラ溢れてきた。
「郁美……」
私は、彼女の名前を泣きながら何度も呼び続けた。
失った所でどうってことないと思っていた薄っぺらい友情は、最後に私の胸をギュッと苦しく締め上げて終わりを告げた。