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三叉路 〜three roads〜
【学園物 恋愛小説】

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告白1-9

眉をひそめ、唇を噛み締めながら話を聞く私のことなど気にせずに、彼は淡々と話し続ける。


「まあ、ちょっと付き合ってすぐに振ってやるつもりだった。でも俺も下心もそれなりにあったから、郁美に軽い気持ちでつい手を出しちまったんだ。郁美はいろんな男と付き合ってきたから、これくらい大丈夫だろうって。

そしたらアイツ、俺が初めてだったらしくて……。

それを知って、自分がとんでもないことしてしまったって怖くなって、一方的に別れを告げて逃げた。だから、アイツにしてみたら俺はヤリ捨てした最低男になったわけだ」


「……郁美はそのこと知ってるの?」


私は声を震わせながら訊ねた。


もう、これ以上彼の話は聞きたくなかったけど、あんなに土橋くんを想い続けていた郁美のことを思うと、どうしても知っておかなければいけない気がした。


「……前に、郁美が学校の前で待っていた時があっただろ? あの時、やり直したいって言うアイツに全部話したんだ。アイツ、相当ショック受けたみたいでずっと泣いてた。当然だよな、ヨリ戻したがった男がそんなひどいこと考えてたんだから。

……なのに、それでもやり直したいって、アイツは言ったんだ」


土橋くんの隣で笑う郁美の顔を思い出す。


幸せそのものといった感じで、満面の笑みを浮かべる郁美の影に、そんな事実があったことを知ると胸が苦しくなった。


「俺は郁美に償うつもりでヨリを戻した。今度はちゃんと郁美と付き合っていこうって決めた。だから、自分なりに郁美のことは大切にしてきたし好きでいたつもりだった。なのに……こないだ郁美に別れようって言われて、ホッとした自分がいることに初めて気付いたんだ」


彼は両手を組んで、そこにおでこをくっつけるようにして俯いていた。



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