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三叉路 〜three roads〜
【学園物 恋愛小説】

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告白1-8

「でも、お互い別の高校に入ってすぐ別れた。多分お前なら理由も知ってるよな」


別の高校に入って、簡単に会うことができなくなった郁美は、彼に自分との時間を優先して欲しかったらしい。


だけどそんな郁美の気持ちとは裏腹に、比内昌斗は郁美との時間よりも野球部の方を優先していた。


寂しがりでプライドの高い郁美は、自分より部活を優先していたことが気に入らなかったのだろう。


郁美が比内昌斗に別れを告げたのは、付き合ってわずか三ヵ月のことだった。


「アイツさ、野球の強い高校入って甲子園に行くってのが小さい頃からの夢で、郁美と付き合えた当初は“甲子園に連れて行く”ってバカみたいにはしゃいでいたんだ。

だから前よりずっと熱心に練習を頑張っていたのに、それが気に入らなかった郁美は、一方的に別れを告げて速攻で別の男に乗り換えやがった」


「…………」


「確かに甲子園に連れて行くなんてのは、昌斗の勝手な夢だったかもしれないけど、郁美のためなら辛い練習も耐えられるってずっと頑張ってきたんだぜ? それを理解しようともせずに自分の都合だけで一方的に振って、昌斗の想いや努力を全部踏みにじって……。

郁美に振られてからは、アイツ人が変わったようになったよ。野球だけはかろうじて頑張ってたんだけど、女をとっかえひっかえ付き合うようになったり、平然と二股かけたりできるような男になっちまった」


土橋くんの吐く白い息がため息とともにフーッと広がる。


中学時代の比内昌斗は、モテてこそいたけど、女の子には奥手で純情そうなイメージが強かったので、私は土橋くんの言葉が信じられなかった。


「ずっと憧れだった自慢の従兄弟を変えさせた郁美って女を俺はずっと許せなかった。そして、人数合わせの合コンに参加して、俺は郁美に初めて会ったんだ。

郁美が何で俺と付き合いたかったのはわからない。でも、付き合って欲しいって言われたときにふと思いついたんだ。コイツにも昌斗の気持ちを思い知らせてやろうって」


土橋くんの言葉に、私は耳を塞ぎたくなって思わず下を向いてキツく目を瞑った。


今まで私が見てきた彼の姿が、色褪せて崩れ落ちていくような気がした。



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