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三叉路 〜three roads〜
【学園物 恋愛小説】

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告白1-7

比内昌斗は、私の中学生の時の同級生だった。


もっとも、私は彼と同じクラスになったこともないし、何の接点もなかったから話をしたこともなかったけど。


彼は、野球部の主将でエースで、ルックスもよかったので、女子からの人気がすごく高い有名人だった。


女の子に絶大な人気を誇る彼だったけど、中学の三年間誰とも付き合わずにひたすら野球に打ち込んでいた。


何人か彼に告白したこともあったけど、決まって“好きな人がいるから”と断っていたらしい。


そしてその、彼の言う“好きな人”っていうのが郁美だったのだ。


そして卒業式の日、比内昌斗はいよいよ郁美に告白して、見事成功した。


私は、以前沙織と授業をサボって非常階段で過ごしたときのことを思い出していた。


あの時沙織に見せた郁美の画像。


そのときの郁美の笑顔は、比内昌斗と付き合っていた頃の幸せそうな笑顔だったのだ。


「……昌斗は俺の従兄弟なんだ」


ハッと息を呑んで土橋くんを見つめると、彼は缶コーヒーを一気に飲み干してから静かに横に置いた。


「昌斗とは学校が違ってたけどしょっちゅう遊んでたよ。かっこいいし、野球も上手いし、おもしれえ奴だし、あいつは俺の自慢の従兄弟だった」


彼は懐かしそうな顔をふと見せた。


「もちろん女の話もしょっちゅうした。アイツ、郁美の話ばっかりでさ。俺は“そんなに好きならさっさと告白しちまえ”って言うんだけど、なかなか煮え切らなくてすげぇじれったかった。

結局卒業まで告白できずじまいだったらしいけど、最後の最後でやっと告白して付き合えるようになったって報告してきたときは、俺もホントに嬉しかったよ」


その時の様子でも思い浮かべているのだろう、彼はほんの少しだけ口元を嬉しそうに歪めていた。




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