告白1-5
公園は、滑り台とブランコと、石でできたベンチがちらほらと設置されていて、あとは子供が野球で遊べる程のやや大きめの広場。
だけど、すっかり暗くなっていたのと、この寒さで寂しい印象を受けた。
少ない街灯のせいもあるかもしれない。
暖かい季節の昼下がりなら子供達で賑わうんだろうな、とキョロキョロ見回していたら、
「まあ、寒いけどここならゆっくり話せるだろ」
と、土橋くんは公園の入り口から一番近いベンチに座って缶コーヒーのプルタブを開けた。
私はベンチには座らずに、さっき買ったレジ袋だけをそこに置くと、ボーッと突っ立ったまま彼の動作を見つめていた。
彼は今ひとつ元気がないような表情で、缶コーヒーを時折持ち替えたりしていた。
そんな彼の様子に、話しかけるのも少しためらわれたけど、やがて私は意を決したように小さく深呼吸をして、
「郁美から……聞いたんだけど……」
と、おずおずと話し始めた。
「ああ」
彼はこちらをチラリと見てから小さく頷いた。
「別れたって……」
「ああ、別れた」
「……それでいいの?」
「いいも何も、あいつから別れようって言って来たんだし、しょうがねぇだろ」
彼は私から目を逸らして、そう素っ気なく言うと、缶コーヒーを一口飲み込んだ。
「……土橋くんは、郁美のこと好きだった?」
私の問いに土橋くんは、少し気まずそうに口を尖らせて黙り込んだ。
私の言葉は、彼にとっては自分を責めたてる言葉に聞こえたのかもしれない。
「郁美、泣いてた。土橋くんの気持ちが自分にないのに付き合っていくのは辛いって」
私は、コートのポケットからネックレスの箱を取り出して土橋くんに渡した。
彼は受け取った箱をじっと見つめながら、
「中途半端な優しさでヨリ戻さねぇ方がよかったのかな」
と、ポツリと呟いた。