28 弱者の抗い (性、残虐注意)-7
濡れた音と艶めかしい吐息が、小部屋いっぱいに充満していく。
騎士は立ち尽くしたまま、二人がかりで犯されるエリアスを、ギラギラした目で睨んでいた。
「……このアバズレが、悪いんだ」
不意に、ぞっとするような声で騎士が呟いた。
つかつかと近寄り、黒髪を掴んでエリアスの顔を男の腰から引き剥がし、思い切り手で打った。
「ぅっ!!」
「魔眼王子にも、どうせ色仕掛けで取り入ったんだろう!?大罪を犯した悪党王子に、悪辣な淫売の側近か!似合いの主従だな!」
手加減なしに打たれた頬が、焼けるように痛む。口の中が切れ、精の味に血が混じる。
楽しみに横槍を入れられた傭兵たちは一瞬鼻白んだ顔を見せたが、すぐ可笑しそうに目配せしあった。騎士のズボンの中心が、露骨に雄の反応を見せていたからだ。
「この女がムカつくなら、犯してやれよ。スッキリするぜ」
一人がニヤニヤしながら、エリアスの片脚を抱えあげる。
たった今、何度目かの精を放ったばかりだが、まだまだ楽しむつもりらしい。
彼らの体力が有り余っているのも確かだが、エリアスの体液は微量な媚薬効果もあるのだ。
わずかに開いたままの膣口を、傭兵の指がいじると、ドロリと白濁液が零れ出た。
傭兵を押しのけるようにし、騎士は膨れ上がった自身を取り出し、突き入れる。
「俺は悪くない……お前が誘惑したから……マウリ様もきっとそうだ。全部お前が悪い!!淫乱悪女は、
犯されて当然だ!!」
不快感と苦痛に耐えながら、力任せに自分を犯す騎士へ、エリアスは密かな冷笑を送る。
彼の誇る正義など、所詮はこんな程度だ。
都合の悪い事は全て他人の罪で、自分達は絶対正義だと言い張る。
アレシュが産まれ持った魔眼を悪と罵るだけで、彼がゼノをどれだけ平穏に統治しているかは、見ようとしない。
ヨランを裏切り者と軽蔑しながら、その彼をマウリが利用している事実には目を瞑る。
エリアスを罵り、自分の正義を主張しながら欲を満たす姿は、酷く滑稽だった。
騎士はエリアスの腰をわし掴み、狂ったように肉の凶器を抜き差しする。傭兵の一人は、また口を犯すことに専念し、あぶれたもう一人は、馬乗りになって乳房の間に肉棒を埋め込んだ。
三人がバラバラな動きでエリアスを揺さぶる。
苦労しながら、精液でベトベトになった指先を、敷石へ最後に一滑りさせた。
その瞬間、陰気な地下室全体が、青白い光に満たされた。
描かれた魔法文字たちが、エリアスの全身に強烈な稲妻をまとわせる。
術者に害はないが、触れている者は雷に全身を貫かれる。
ゼノで薬師を殺した時と同じだが、あれよりはるかに強力なものだ。
無数の青白い火花が炸裂し、密着していた男たちは、悲鳴とともに跳ね飛んだ。
内側から焦げた皮膚は異臭と煙を放ち、ビクビク何度か痙攣した後、動かなくなる。