報告-10
―――桃子、見て見て! これ修からのクリスマスプレゼントなの。
嬉しそうに私に報告してきた郁美の姿を思い出す。
その日から郁美の首には、いつもこのネックレスが輝いていた。
こんな風に私にのろけては、私の気持ちを逆撫でさせてばかりの郁美に、もはや友達と呼べる感情は抱けなかった。
……それなのに。
なんで今頃になってそんな優しさ見せるの?
わがままで自分が何より一番、それが郁美でしょ?
似合わないことしないでよ。
ポツ、と箱の上に雫が落ちた。
慌てて箱の上の涙をぬぐい取るけど、次から次へと涙が箱の上に落ちてくる。
「……郁美」
郁美の宝物を自分が壊してしまったような気がして、ネックレスの箱を大事に胸に抱いたまま、私はしばらく動けないでいた。