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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第13話-26


「………」
 傍らにいる桜子が、ふと、枕元にあるスポット・ライトを灯した。
「ん……」
「あ、ごめん。起こしちゃった、かな?」
「いや、だいじょうぶ……」
 大和はといえば、夢現な様子で、不意に視界に入った明るさに目を細めながら、平面になっているその顔を起こしていた。
 二人は今、大和のアパートにいる。そして、昨夜は久しぶりに濃厚な時間を過ごし、今は、その体温を分け合いながら、幸福な眠りについていたところだった。
『えへへ。来ちゃった』
 桜子は、姉の由梨の定期健診を終えてから、大和のアパートに足を運んでいた。
『私はもう、だいぶ落ち着いたから』
 だから、もっと自分の時間を使って欲しいという、そんな由梨の言葉に甘えてのことだった。
『ごめん、お姉ちゃん。今日だけ、わがまま言うね』
『ええ、いいのよ。私も“解禁”になったから、今晩は龍介さんと…』
『い、いってきます!』
 言うや“蓬莱亭”を駆け出すように飛び出て、大和のアパートに駆け込んできたのだった。そのため、事前に大和に連絡するのを忘れていたのは、いかにも桜子らしいところだった。
『来ても、よかったのかい?』
『うん!』
 大和は例の“三時間ウォーク”によって既に帰宅しており、思いもしなかった桜子の来訪を、目に見えるように喜んでいた。
 大和は週末の“東西交流戦”に参加するため、試合を控えている身であるから、もうすぐ“据え置き期間”に入る。その前に、一度だけ、思う存分に触れ合いたいと思う桜子を、誰が責められよう。
 そして、それは大和も同様だった。
『あ、ああっ、はげしぃっ、や、やまとっ、やまとおぉおぉぉぉっ!!』
『さくらこ、さくらこっ、う、ううっ、さ、さくらこぉおおぉぉぉ!!』
 だから、この夜はとても熱く燃え上がった。紙面にすると、ひとつの話が出来上がってしまいそうになるぐらいに、二人はその若い情念を燃やしつくし、そして、精魂を奮い使い果たして、抱き締めあったまま眠りについたのだ。
「急に、ライトを点けて、どうしたんだい……?」
「えっと、ね……」
 実を言うと、特に理由はなかった。ただ、そうしないと、愛する大和が、なにか不憫なことになってしまうと、彼女は直感で思ったのだ。
「ん……ふあ……」
「ご、ごめん。起こしちゃった、よね……」
「いや……せっかく、だから……」
「えっ……あっ……」
 寝起きの意識をようやく覚まして、大和は、桜子の肩に手をかけると、彼女の身体を自分の真下に組み伏せた。お互い裸のままなので、やろうと思えばすぐにできる状態だった。
「や、大和……んっ……」
 唇を塞がれて、言葉を奪われてしまう。
「あ、あっ……大和……大和ぉ……」
 体中に愛撫を浴びて、たちまち、桜子の甘い声が部屋中に響き始めた。
「………」
 その声を聞きながら、大和は、少し明るすぎると感じたスポット・ライトに手を伸ばす。
「灯り、落とすよ…」
「う、うん……あ、あんっ……」
 大和の愛撫を受けて、恍惚となった桜子の表情は、灯りが落ちた部屋の薄闇の中に、うっすら溶け込んでいった…。


 −続−



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