電話-2
「なに?聖女じゃん。恭平の妹?」
「あぁ」
男子に免疫のない私たちは近づいてきた数人の男子に
恥ずかしくなっちゃう。
「恭平の妹、聖女なの?なにマジかよ?」
トレーを持ったままさらに近づく彼らに
心の中でキャーキャー言ってるのはみんな同じだと思う!
「だめだ。この階空席ねぇわ」
席を探しに行っていた一人がぐるりと回ったあとに
戻ってきてそんなことを言った。
「あ、あたしたちもう帰るのでこの席どうぞ」
一人が立ち上がったとたん
次々と「そうだよね」と立ち上がる。
え〜
もうちょっと話したかったぁ〜・・・
私も仕方なくトレーを持って立ち上がろうとしたら
「結衣。俺と一緒に帰りな?帰ったって誰もいないだろ?」
とお兄ちゃんが言いだした。
え?え?私だけ残るってこと?
「しゅ、宿題やらないといけないから」
「宿題?」
「うん。今日の宿題難しくて」
「んじゃ、教えてやるよ。ここでやればいいじゃん?」
ひ〜・・・
この集団の中に一人で残る勇気はないよん・・・