恋とは何なのだろうか-6
――ならば、この気持ちはもしかして?
桝谷と楽しそうに握手を交わす雅を見ながら、俺は自分のワイシャツの胸元辺りを握りしめた。
初対面で恋に堕ちるなんてあり得ない。
相手がどんな性格してるのかわからないのに、恋だなんて決めつけるには早すぎだ。
でも、間近で見る雅の陶器のように滑らかな白い肌、柔らかそうなコシのない黒髪、小さくて細いその肢体を見ていると触れたくてたまらなくなった。
正直、雅よりも綺麗で可愛い女だってたくさんいるはずなのに、その女を目にした時よりも、今の自分の方がソワソワ落ち着かない。
「えっと……、桝谷くんね。よろしく」
フフッと笑いかけて桝谷と握手を交わす雅。
まさに白魚とも言うべきその白くほっそりした手を見ていたら、なんでか生唾が込み上げてきて、それを慌てて嚥下した。
「でえ、こっちの仏頂面が風吹博次!」
雅との握手を終えた桝谷は、今度は俺の腕をグイッと引っ張って雅の前へと突き出した。
「おい、桝谷!」
急に話を振ってきた奴に凄みをきかせるも、奴はこっそり俺の耳に
「お前、雅ちゃんめっちゃタイプだろ? 壬生柚香にどことなく似てるもんな」
なんて囁くもんだから、思わず石のように固まってしまった。
しかし同時に腑に落ちたのも事実。
雅に対しこんなにも身体が疼いていたのは、彼女がずっと俺のオカズとして脳内で散々犯しまくっていた、あの壬生柚香に似ていたからなのだ。
「ええと、風吹博次くん、よろしく」
雅は俺に向かって屈託のない笑顔を向けて、桝谷同様握手をするために手を差し出してきた。
この汚れを知らなそうな、可愛らしい笑顔に俺は頭に雷を受けたようにビリッと痺れたような気がした。
ふと、ここ最近鍛えあげられた想像力が災いしてか、目の前の雅が裸にひん剥かれて凌辱される姿が浮かんでしまう。
白い細い脚は大きく開かされ、美しい裸体は赤い縄があちこちを走っていて。
その女性のシンボルを俺の指や舌で攻められまくれば、悲しげに涙をポロポロこぼしながらも悩ましく鳴いている雅。
そこまで脳ミソが勝手に雅の淫らな姿を再生すると、まるでパブロフの犬みたいに俺のアレが鎌首を持ち上げようとするのが自分でもわかった。