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【教師 官能小説】

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恋とは何なのだろうか-5

SHRが終わった後のクラスメートのテンションたるや、凄まじいものだった。


ライオンの群れに肉の塊を放り投げたような勢いで、皆雅の周りに群がって行った。


「何歳?」


「どこの大学?」


「私のお兄さん知ってる?」


なんて、教育実習生の通過儀礼のような質問の嵐が雅に浴びせられる。


少し顔を赤らめながらも嬉しそうに話をする雅の姿を俺はチラチラ横目で眺めていた。


「博次、オレらも雅ちゃんと話しに行こうぜ」


ガタンと音を立てて椅子から立ち上がった桝谷が俺の腕をグイッと引っ張る。


「いいって、俺は。話してえならお前一人で行ってくりゃいいだろ」


「ダメだよ、オレ、可愛い人相手だと緊張してしゃべれねえもん」


隣のクラスの阿部さんに一向に話しかける勇気のない桝谷のチキンっぷりは、ここでも健在だった。


いや、チキンは俺も一緒か。


初めて雅を見て、あり得ないほど胸が高鳴って、気になるくせして興味のない振りして。


なんだこの感じは。


初めて沸き上がってくる妙な気持ちに戸惑っていたら、桝谷が俺の腕を掴んでグイグイと教卓の方へ歩いて行った。


「おい、桝谷!」


桝谷は鼻歌混じりでクラスメートの輪の中へ飛び込んでいく。


そして、人だかりの中をうまいこと掻き分け、俺と桝谷は雅の目の前に姿を晒すことになった。


桝谷は元来お調子者で、クラスのムードメーカーな所があるから、こういう図々しい行動に出ても笑って済まされることが多い。


今だってそう、「ちょっとごめんなあ」なんて桝谷が手刀を切りながら割り込んでいく様子を、クラスメートは笑いながら眺めていた。


「はーい、オレ桝谷って言います! 雅先生宜しくね」


雅を目の前にした桝谷は、おどけながらも彼女に握手を求めた。


どうやらコイツのチキンっぷりは、阿部さんオンリーのものだったらしい。


鼻の下を伸ばした桝谷のアホ面を呆れながら眺めた俺は、恋ってのは本命の前でだけどうしようもなく臆病になったり、不甲斐なくなってしまうもんなのかな、とぼんやり思った。






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